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検索結果:923 件
とある滝にて終焉を迎えた最恐の犯罪者。『ジェームズ=モリアーティー』
彼は気付くと、記憶喪失で異世界の美人令嬢の憑依霊として転移?していた。
しかし、憑依した令嬢は寄宿舎でいじめられ、今にも自殺をしようとしていた。
彼は彼女の自殺を止めて思わず口にする。「君の問題を解決してあげよう。」と。
記憶は無いが、頭脳は変らない。彼は、その明晰な頭脳を鹿撃ち帽の探偵無き世界でたった一人の女の子の為に存分に振るう。
虐められたら心を粉砕する。やられたら惨たらしくやり返す。
教師も生徒も貴族の親も関係ない。
持っているのは『冴えわたる頭脳』たったそれだけ。
しかし、彼の前では全てが計算可能な変数となり、世界は彼の思うままに動き出す。
いじめられていた令嬢は死に、血も涙も無い悪役令嬢モリアーティーに生まれ変わる。
肉体は無い、記憶は無い、未知なる異世界で彼(彼女)は完全犯罪方程式を組み立てる。
さぁ、見せてあげよう。明晰なる頭脳が魅せる完全犯罪の如き報復を。
※一話平均1000~2000文字です。
※この作品は『カクヨム』『NOVEL DAYS』『小説家になろう』『エブリスタ』の4サイトに投稿しています。
※略称は『黒モリ白書』です。
※2020/02/07某なろうラジオで紹介されました。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-05-21 23:42:04
1451338文字
会話率:23%
IN:0pt OUT:95pt
総合ポイント:5771pt 評価ポイント:2161pt
ショートショート・短編・掌編。古いものをこちらにまとめました。
ジャンル・長さは色々です。
奇妙だったり不穏だったり理不尽、王道、くだらない、など。オチは用意しているつもりです。
お読み頂きありがとうございます。
最終更新:2024-05-21 17:00:00
1224150文字
会話率:29%
IN:0pt OUT:28pt
総合ポイント:126pt 評価ポイント:88pt
……おれは夢を見ている。何のテレビ番組かは知らないが、ひな壇のゲストとしてそこに参加している。
上下に三人ずつ分かれて椅子に座っており、おれは下段。右隣には男。左隣には、やたら化粧が濃い女。スタジオセットは黄色を基調とした造りで、司会者は左手のほうにいる。
カメラの画角には入っていないだろうが、足元すぐにモニターがある。ここにVTRなどが流れ、その感想を求められることになるのだろう。
さて、おれはどんな人物なのだろうか。俳優だろうか。前列の、それに真ん中ということは、
それなりに注目される存在なのではないだろうか。
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最終更新:2024-05-21 16:00:00
1894文字
会話率:45%
IN:0pt OUT:3pt
総合ポイント:0pt 評価ポイント:0pt
「えー……ねっ、というわけで、鳩なんか出してみましたけどもね、はははっ……えー、では次行ってみましょう。あ、ショウ!」
観客のせせら笑いと囁きが会場を満たし、どこかネジが緩んだような雰囲気が広がっていた。
それもそのはず、舞台上にいるマジシャンの男は、つい数日前に週刊誌で不倫を暴露されたのだ。
とは言っても、単なる穴埋め記事で、テレビなどに出ている人気者というわけではない。最近ジワジワと売れてきていた苦労人タイプの中年の男だ。
そのマジックショーのチケットが手に入っ
たので来たのだが、記事の影響のお陰だろう、会場は満員御礼。マジシャンはむしろ週刊誌に感謝すべきかもしれない。
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最終更新:2024-05-21 11:00:00
1935文字
会話率:19%
IN:0pt OUT:4pt
総合ポイント:0pt 評価ポイント:0pt
「なん、な、な、に、なに、な」
目覚めた彼は脳内で渦巻く思考の奔流に溺れた。思考と呼ぶには欠ける汚泥の川であり、抑えようとしても、水しぶきを上げるように言葉が断続的に漏れ出る。
彼が意識を取り戻したことに気づいた看護師が医者を呼んだ。その医者が彼に言った。
「やぁ、意識が戻ったようですね。よかった」
「よか、よか? なに、あ、あ、なに」
口がうまく回らないことに彼は恐怖を覚えた。だが、周りの様子から見てここは病院で、麻酔が効いているせいだろうと考えた。
キーワード:
最終更新:2024-05-20 15:00:00
1352文字
会話率:55%
IN:0pt OUT:9pt
総合ポイント:0pt 評価ポイント:0pt
夜。サンダルを履いて、マンションの部屋から出た男は「うげっ」と思った。
廊下の電灯の光に映し出された靴跡。どうやら今、外は雨のようだ。しつこい残暑を凌ぐためにエアコンをつけ、窓を閉めていたため、雨に気がつかなかった。
男は手すりから身を乗り出し、空を見上げた。
――降って……ないな。
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最終更新:2024-05-20 11:00:00
759文字
会話率:0%
IN:0pt OUT:6pt
総合ポイント:0pt 評価ポイント:0pt
「さぁー! 番組が始まりましたが……えー、まずはこんばんは」
黒い床の番組セット。壁の青い照明と喧嘩しないよう天井の照明は控えめ。椅子に座る出演者の前には下半身を覆い隠す机があり、クイズ番組を彷彿とさせるが、この番組は軽薄なバラエティではないと一目で視聴者に感じさせる。引きで番組セット全体を映した後、神妙な面持ちの司会者の顔からスタートし、彼が挨拶と軽く番組を説明し「いや、無理無理! 無理よこんな空気! 忘れてるかもしれないけど、おれ、お笑い芸人よ?」と茶化し、本題に入る
。
「はい、こちらにおられるお方が、美人ミステリー作家の識峰先生です!」
丸椅子に座る識峰にカメラがズームし、識峰が軽く頭を下げる。黒い髪の毛が揺れる。表情は崩さず、無のまま。
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最終更新:2024-05-19 11:00:00
6807文字
会話率:73%
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総合ポイント:0pt 評価ポイント:0pt
「どぉーもぉー! ダブルマーケットです! いやいやもぉーねー、こんなにたくさんのお客さんにねぇ、集まっていただいてありがたっくて緊張しちゃってもう、帰って欲しい!」
「なんでやねん!」
「ってまあ他の芸人目当てでしょうけどねっ!」
「なんでやって! まあ単独ライブちゃうけど、ええやんええやん覚えて帰ってもろたら」
「そうですねぇ、覚えないと、こーだぞ! ってね」
「拳つくるなや! まあ、ええけど」
キーワード:
最終更新:2024-05-18 15:00:00
2268文字
会話率:100%
IN:0pt OUT:9pt
総合ポイント:18pt 評価ポイント:16pt
ある日、ある男が精神科医のもとにやってきた。
いや、追いやられたと言うべきか。どうもたらい回しにされているらしいその男のレポートを見て、医者はううむと唸った。
男は自分が誰で、どこにいたのか何をしていたのかも覚えていなかった。つまりは記憶喪失のようだが、その原因がまったくわからないのだ。
ボロボロの服を着て、フラフラと歩いていたところを保護されたが、本人が口にした情報は「眠っていたような気がする」とだけ。拉致され薬物を打たれて、記憶以外にも財産など奪われたのでは……と
犯罪の匂いがしたが、一通りの検査を済ませた結果異常は見つからず、健康体そのもの。折りたたむ>>続きをよむキーワード:
最終更新:2024-05-18 11:00:00
1594文字
会話率:75%
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総合ポイント:0pt 評価ポイント:0pt
ちょっと変からとっても変まで、知らないだけで世の中には変な人が溢れている。
最終更新:2024-05-17 22:06:47
163146文字
会話率:44%
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総合ポイント:14pt 評価ポイント:10pt
飛び降りだ飛び降り! 飛び降り自殺だ! うん。そうに違いない。いや、絶対にそうだ。あのオンボロ団地にはうんざりしていたんだが、まさかの大事件に遭遇だ! 今朝、外出てすぐのところに警官がえーっと四人、いや、もっといたな、うん。ブルーシートで何かを囲っていたんだ。あれは飛び降り自殺に違いない。誰かな誰かな。隣の部屋のやつかな、上の部屋のやつだといいな。顔は知らんが窓を閉める音がやたらうるさいんだ。ひひっ、死んだかな。死んだんだろうな。あの警官たちの暗い顔。死体だ死体。そうに違い
ない。朝早くから嫌なもん見ちまったなーって顔してたからなぁ。きっとひどい有様だったんだろうなぁ、ひひひ。あー、早く帰りてえな。それで妻から事件の詳細を聞いて、ああ、でもあいつの得意げな顔を見るのも嫌だなぁ。『ねえねえ知ってる!? 今朝ね! なんとねぇ……』って、おれが先に見つけたんだぞ。おれのもんだ。大体、お前が見送りに出てきて上から『ほら! なに立ち止まってるの! 電車乗り遅れるわよ!』なんて大声で言うから、警察の人たちに何があったのか話を聞きそびれたんだ。それがなければ、おれが上手いこと聞きだしたのに。そうしてればこうして吊革に掴まっている今、もやもやせずにいられたんだ。大体、お前、朝からあんな大声で何だよ、はしたない……。結婚する前はそんなんじゃなかったくせに。ご近所さんに聞かれたかもしれないし、警察の人たちに、『ああ、野次馬か』みたいな目で見られちゃったじゃないか。折りたたむ>>続きをよむキーワード:
最終更新:2024-05-17 11:00:00
5352文字
会話率:0%
IN:0pt OUT:7pt
総合ポイント:0pt 評価ポイント:0pt
――おっ
と、電車のドアが開いた瞬間、おれは思った。昼下がりの空いた車両内の端の席、仕切り板に体を預けていたおれは、電車の中に入ってきたそいつに向けて久しぶりだな、とニヤッとしてみる。しかし、向こうは気づいていないようだ。『あの男、ニヤついて気持ち悪いな』と他の乗客から思われた気がして、目だけを動かして周りの様子を確認した。
よかった。杞憂、被害妄想だ。春の日差しと心地良い揺れに、みんなボーっとしている。そして、結局あれも、おれの妄想なのだろうか……。
おれは小人
が見える。ごくまれに、ぼんやりしているときだけだが。だから『夢を見ていたんだろ?』と人に強く言われれば、ううむと唸るしかない。ゆえに誰にも話したことはない。そもそも、頭がおかしいと思われたら損だ。
これは夢と現実のその狭間に見ているものなのだろうか。それとも、彼ら小人たちが暮らす次元とおれたち人間が暮らす次元は実は密接しているのだろうか。おれにはわからない。ただ、面白いのでこのままぼんやりと眺めることにした。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-05-16 11:00:00
3427文字
会話率:8%
IN:0pt OUT:2pt
総合ポイント:10pt 評価ポイント:10pt
「はぁ……どうすっかなぁ……」
『――ますか』
「え?」
『聴こえますか?』
「は? え?」
『この声が、聴こえますか?』
「え、はい。いや、え?」
キーワード:
最終更新:2024-05-15 15:00:00
2504文字
会話率:97%
IN:0pt OUT:8pt
総合ポイント:6pt 評価ポイント:6pt
「ふー……」
夜。とある屋敷に侵入した男は大きく、しかし静かに息を吐いた。
そう、彼は泥棒。地主であろう、田舎の大きな屋敷に独り暮らしの男が大金と共に眠っていると噂を聞きつけ、やってきたのだ。もし、家主に見つかっても縛り上げてしまえばいい。よその家と大きく距離があるので多少の騒ぎは聞こえやしない。
覆面にツナギを着用。遠くに車を停め、そこからここまで乗ってきた自転車も後々処分する。完璧だ。証拠は残さない……はずだった。
「ど、泥棒か?」
「え……」
最終更新:2024-05-15 11:00:00
2086文字
会話率:84%
IN:0pt OUT:8pt
総合ポイント:34pt 評価ポイント:34pt
温暖化問題、エネルギー問題、病気や飢餓。人類を取り巻くあらゆる問題は、ある時、一挙に解消された。
宇宙からやってきた彼らのお陰で……。
「本当に、本当にありがとうございました! あなた方のお陰で我々は、いえ、我々だけでなく、この星の全生物が救われたと言っても過言ではありません!」
「いえいえ、皆さんの協力あってのことですよ。突然現れた我々を信用してくださり、ありがとうございました。それに、我々のテクノロジーを受け入れるための十分な科学技術の基盤がありましたからね。その
お陰ですよ」
「いやぁ、あなた方がこの星に来てくれて本当によかった……! あなた方の宇宙船が空から現れた時は、侵略だ! なんて皆慌てふためきましたが、まさか宇宙にはこんなに善良な方々がおられるなんて……ああ、本当にありがとうございます!」折りたたむ>>続きをよむキーワード:
最終更新:2024-05-14 15:00:00
1569文字
会話率:87%
IN:0pt OUT:10pt
総合ポイント:0pt 評価ポイント:0pt
「うおっ、え、今」
「え! なに?」
夜の山道を走る一台の車。運転手の男が声を上げ、助手席にいる女が手にしているスマートフォンから顔を上げた。
左側はブロック塀。崖である右側は白いガードレール。特に変化は見られない。
「いや、今、飛び出し注意の看板があって、それがさ……」
「なに……?」
「ユニコーンだった」
「は?」
最終更新:2024-05-14 11:00:00
2693文字
会話率:83%
IN:0pt OUT:5pt
総合ポイント:0pt 評価ポイント:0pt
人類の生活圏全体の地表は、アスファルトに似た質感の濃い銀色で覆われていた。
遥か未来の地球で、人々は植物を人体に有害と断じ、拒絶していた。むろん、それには理由がある。また遥か昔、ある日突如として植物たちが毒素を出し始めたのだ。嘔吐。高熱。失明。脳の萎縮。あらゆる不調の原因が身の回りまた遠くの山々にある植物たちと気づくまで、多くの犠牲と怨嗟の声を生んだ。
ゆえにその原因が植物だと分かった時、当時の権力者たちは地表を覆い、閉じ込め、死滅させることを決定した。
地球温暖化が
原因だったのか、人類の好き勝手な振る舞いを自然は咎めたのか。木や雑草、花などの自然界で生きる植物たちが突然、人類に反旗を翻したその理由までは解明できず、人類は罪の意識を抱いたが、蓋をすることを選ぶしかなかった。
野菜など人工的に育てられたものは人体に害を及ぼすことはなかった。よって、それ以外の地表、人類の生活圏をコンクリートで覆いつくし、他の地域は薬剤の散布、兵器による焼却、また環境変動の後押しにより地球が海と荒野の惑星になった頃には、植物の本来の役割である酸素の放出、大気汚染物質の吸収などは発展を遂げた科学技術で補えた。尤も、植物を餌とする動物や昆虫の死滅は避けられなかったが。
恒久的な平和が齎され、各家庭には毎月まとめて配給食が届けられた。あくせく働かずとも一応は暮らせる豊かな生活により人々が心に余裕を取り戻すと、これまで嫌悪されてきた植物も人工物ではあるが町に色を添えるようになった。青い芝生に青い葉の木々。それらは文字通り青色だが、かつて自然界に存在した植物たちを忘れ、埃塗れの文献から再現した人々の勘違いではなく、あくまで意図的であった。
紫の桜。虹色の花。元にない色で蘇らせるそれらは人類が植物に勝利したことの証。支配の象徴であった。
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最終更新:2024-05-13 11:00:00
6954文字
会話率:20%
IN:0pt OUT:7pt
総合ポイント:10pt 評価ポイント:10pt
そこはエデンの園。アダムとイブは平穏な日々を送っていた。
いつものように木陰の下で寄り添い合う二人。しかし、イブがふと気づいたようにこう言った。
「ねえ、アダム。これ、見て。どうしたのかしら……」
「さあ、なんだろうね。でもいいじゃないか別に……」
「そうね……ふふふっ」
「あはははっ」
キーワード:
最終更新:2024-05-12 15:00:00
742文字
会話率:78%
IN:0pt OUT:13pt
総合ポイント:6pt 評価ポイント:6pt
深夜、客を乗せたそのタクシーは、ふと違和感を覚えた。
その客は「適当に走ってください」と言っておきながら、外の景色を眺めることなく、どこかソワソワして、またチラチラと外よりも車内を気にしているようであり、車載カメラと目が合うと、さっと顔を逸らした。
――これはあれだな。
と、タクシーは思い、声をかけた。
「お客さん、トイレをご希望ですかぁ?」
乗客は「えっ!?」と背筋を正し「いや、その……」と口ごもると身をドアの方に寄せ、ゴツッと頭を窓に預けた。
一応、否
定と捉えたタクシーはそのまま走り続けた。わざと意地悪くそう訊ねたのには理由があった。すでに今月、やらかされていたのだ。気づいたのは乗客が降りた後。シートの汚れを取るのが大変だった。マジックハンドでそれを掴んだときの感覚を思い返すと怒りが湧き上がり、クラクションを鳴らしてやりたくなる。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-05-12 11:00:00
2252文字
会話率:69%
IN:0pt OUT:6pt
総合ポイント:10pt 評価ポイント:10pt
「ん、はい、どうぞー」
とある病院の一室。ベッドにいた彼はノックの音に返事をした。
「宮野。入るぞー」
「お、おお。西田! 久しぶりだなぁ」
「だなー、はははは!」
笑い合う二人。西田は高校時代の友人。社会人になってからは疎遠気味だったが、こうして見舞いに来てくれるとは良い奴だな、と宮野は思った。しかし……
「いやー、しかしねぇ、驚いたよ。お前が入院したって聞いたときは」
キーワード:
最終更新:2024-05-11 15:00:00
2209文字
会話率:98%
IN:0pt OUT:10pt
総合ポイント:10pt 評価ポイント:10pt
とある夜。うとうとしかけていた男は慌てて布団を跳ね除け飛び起きた。
それも当然のこと。瞼の向こう側で淡く光が滞留しており大方、外の車のヘッドライトの光がカーテンの隙間から入ってきているのだろうと思い、苛立ちつつ目を開けた。しかし、その光の正体は……。
「か、神様……?」
そういう他ない、長い白髪に白く長い髭。白いローブのようなものを着ており、全身から淡い光を放っている。イメージした通りの神の姿がそこにあった。しかし……
「そうだが違う」
キーワード:
最終更新:2024-05-11 11:00:00
1566文字
会話率:90%
IN:0pt OUT:11pt
総合ポイント:0pt 評価ポイント:0pt
数十年前のある夜。夫人を乗せ、大統領自らが運転する車が谷底へと落下し、二人とも死亡した。
運転席に銃弾を撃ち込んだという男の名はロバート。現場から逃走を試みるも護衛についていた大統領の警護人が追跡。彼は逮捕された。
だが、ロバートは移送中に何者かの手によって殺害された。
その犯人はジョンソンという名の男だった。しかし、彼は捜査の手が及ぶ僅か前にチャーチルという名の男に殺害された。
そして、そのチャーチルは警察に逮捕される前にニコラスという男によって殺され
最終更新:2024-05-10 15:00:00
796文字
会話率:20%
IN:0pt OUT:12pt
総合ポイント:0pt 評価ポイント:0pt
中学校に入学して日がそう経たないうちに父親の仕事の都合で引っ越しをした山田は、再び父親の仕事の都合で以前住んでいた町に戻ってきた。
担任の先生の合図を待ち、教室のドアの前に立っている山田は、ふぅと息をつく。
……左遷か栄転か、平凡な会社員にしか見えない父にも、もしかしたらテレビドラマのような展開があったのかもしれないけど、まあ、わからないし、この中学三年生という受験やら何やら忙しない時期で正直迷惑。でも、馴染みのある中学一年生の頃に通っていた学校に戻って来られたからマ
シだと思おう。先生や友達の顔を覚えているし――えっ
「えー、と、いうわけで、この通り、山田が帰ってきた! みんな、拍手!」
「おかえりー!」
「お、おかえり山田!」
「おかえりー!」
「ウェルカムバアァァク! 山田!」
「ふぉおおおう!」
「じゃあ席に。お、そうだ、川西の隣が空いてたな。あそこに座りなさい」
「え、いや、あの、え」折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-05-10 11:00:00
2454文字
会話率:76%
IN:0pt OUT:11pt
総合ポイント:10pt 評価ポイント:10pt
『舞台の上で死にたい』『それが役者としての本望』と、ベテラン俳優の彼は酒の席で事あるごとにそう口にしていた。自分の発言に酔いしれているのか、それを肴に酒を呑む。あるいは、酒を呑むことその罪悪感を和らげるために言っていたのか。死などいつでも受け入れてやる、と。
その真意は本人にもわからないが、なんにせよ不摂生が祟り入院し、余命あとわずかとなった。
こうなってくると『舞台の上で死にたい』という思考。それは湿度を伴う言葉となり、習慣となり、性格、行動と、そしてこれは運命なのだと
本人は疑わなかった。信念というより執念。何が何でも舞台の上で死にたい。伝説を残すのだと息巻き、関係者に片っ端から連絡を取った。
折りたたむ>>続きをよむキーワード:
最終更新:2024-05-09 11:00:00
3741文字
会話率:13%
IN:0pt OUT:9pt
総合ポイント:16pt 評価ポイント:16pt
「んー……」
「ねえ、さっきからなに悩んでるの?」
「え? うーん、いや、さ。えっと、処女懐胎とかさ、超高齢出産だの、脇から産まれた上にすぐ喋ったとかさ、宗教の開祖にはその誕生からそういう物語があるわけよ」
「ふーん?」
「どれも盛ってるというか、作り話だけど、まあ、それは置いといてさ、んー……」
「だからなに悩んでるの?」
「おれもそういうのが欲しい」
キーワード:
最終更新:2024-05-08 14:10:00
873文字
会話率:100%
IN:0pt OUT:10pt
総合ポイント:10pt 評価ポイント:8pt
夜。とある喫茶店の窓際の席で向かい合い座る男と女。店の照明とBGMにそぐわない、その神妙な面持ちに周辺には重苦しい空気が漂っている。
他の席の客もなんとなく気にしているが、おそらくあれは……。
「他に好きな人ができた、か……」
「……本当にごめんなさい」
「ははは、まあ、付き合ってから半年も経ってないしね。傷は浅い……かな。どうなんだろうな」
キーワード:
最終更新:2024-05-08 11:00:00
1694文字
会話率:96%
IN:0pt OUT:10pt
総合ポイント:10pt 評価ポイント:10pt
「あ、あ、あ、あのですねぇえ! しゃ、社長様はおられますかぁ!」
とあるビルの一室。入室と同時に発されたその声は窓を割れんばかりに震わせたが、声の主もまたガタガタブルブル。また、名指しされ、社員一同の視線が集まった社長も震えあがった。
社長はいそいそと立ち上がり、出入り口付近に立つその者に向かう。
何の用で来たかはわかっている。先ほど取引先から電話があったのだ。今回のミスついて、直接謝罪にお伺いする……と。
「あ、あのね、ま、まず、そんな大きな声出さないで貰えるかな
? このビルはさ、他の企業さんも入っているんだよ。迷惑になっちゃうからさ、うちなんて、ははは、小さい会社だからさ、睨まれちゃうと肩身が狭いというか、いやぁ参っちゃうんだよね」折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-05-07 16:00:00
1792文字
会話率:80%
IN:0pt OUT:10pt
総合ポイント:0pt 評価ポイント:0pt
あぁぁいやぁ、時は金なり、いやこのお話はむかしむかしのこと。ついつい先走ってしまいましたが、舞台はとあるお城の中。その城主様の目の前には大判小判ざっくざく。その輝きで自分の顔までピカピカにして、にんまり笑っております。
そうそう金、金、金。金があるところに問題あり、問題あるところに金があり。金がないのもまた問題。きっかけはやはり金。慌ただしく廊下を走る音に何事かと城主様が首を傾げたそのとき、襖をバーンと開け、青い顔して飛び込んできたのは彼の家来。
城主様は怪訝な顔して「
おい、何事か」と訊ねました。
「ひ、ひ、ひ、ひと、ひと……」
折りたたむ>>続きをよむキーワード:
最終更新:2024-05-07 11:00:00
1650文字
会話率:70%
IN:0pt OUT:12pt
総合ポイント:8pt 評価ポイント:8pt
「おっと……」
おれは座った席が思っていたより低かったことに驚き、つい声を漏らしてしまった。
誰にも聞かれなかっただろうな、と辺りを見回すと右に二つ席を空けて座っていた男と目が合った。初老の男だ。にっこり笑い、軽く会釈したので、おれも同じように返した。
スクリーンのほうへ向き直す前に、もう一度だけ席上部に付けられているプレートの番号と、渡された券の番号を見比べてみる。
「D-A-175……」
合っていたので、ようやく人心地ついた。
「隣、いいですか?」
「
えっ、あ、はい」
先ほどの男が身を屈め、声を潜めて話しかけてきた。男はおれの返事に安心したようで、柴犬のように目を細めて笑い、よっこいしょと呟いておれの隣の席に座った。
勝手に席の移動などして誰かに、特に管理者に咎められやしないかと、おれはまた周囲を見回した。しかし、見張りの姿はなく他の人間はぽつりぽつりと静かに席に座っていて、寝ている者もいれば、腕を組みスクリーンを見ている者。いずれも特にこちらに気を払ってはいないようだった。折りたたむ>>続きをよむキーワード:
最終更新:2024-05-06 11:00:00
2700文字
会話率:54%
IN:0pt OUT:7pt
総合ポイント:0pt 評価ポイント:0pt
ついにこの日が来たと、誰もが思ったことだろう。すでにこの世にいない人々までもが。
「……ここに宣言させていただきます。本日をもって、この地上、この星から核兵器を完全になくすと!」
核兵器を所持する全世界の国々が新たに提唱された平和条約に同意し、核兵器を一つ残らず宇宙に向けて破棄することが決定されたのだ。
キーワード:
最終更新:2024-05-05 15:00:00
893文字
会話率:10%
IN:0pt OUT:8pt
総合ポイント:10pt 評価ポイント:10pt
深夜か、それとも夜明け前か。わからない。眠ったのは確か……と、暗い部屋。ベッドの上で目覚め、ぼんやりと天井を見つめていた彼は息を呑んだ。自分の上に何かが乗っかっている。
――強盗。
そう思った彼は体を起こし、跳ねのけようとした。しかし、体が全く動かない。押さえつけられているのかと思ったがそうではないようだ。彼は目を凝らし、状況をよく見ようとした。すると心はより恐怖に染まっていった。自分の上にある人影。その向こう側が透けて見えるのだ。
――幽霊……か?
彼は
そう思った。体格と短い髪型からして男のようだが、こちらに背中を向けて座っているようで、どんな表情をしているかはわからない。やや項垂れているようだった。
折りたたむ>>続きをよむキーワード:
最終更新:2024-05-05 11:00:00
1532文字
会話率:0%
IN:0pt OUT:5pt
総合ポイント:14pt 評価ポイント:14pt
おお、おお。ようきた、ようきた。遠かったろう。ははは、疲れたかな? ははは、そうでもないよときたか。はははははっ! いやぁ、じぃじもマサちゃんに会えて嬉しいぞ、うぅーふふふふ。
え? マサくん? ふふふ、そうかぁ、もう『ちゃん』て歳じゃないかぁふふふふっ。確かに背が伸びたものなぁ。ああ、立派立派! おお、そうか、こないだ夜中にひとりでトイレになぁ。すごいなぁマサちゃん、おっとマサくんは。ははははは!
そうかそうか、怖いものなんてないか。勇ましいなぁ。
ん? じぃじか
? そりゃあ、じぃじに怖いものなんて……と言いたいところだが一つあるぞ。特にな……もうすぐ危ない時期に入るんだ。
そいつらは山にな、いーっぱい、いてなぁ。おおそうそう、よく知ってるなぁ。そうか、ニュースで、ん? 違う違うクマじゃない。クルマだ。野良車。折りたたむ>>続きをよむキーワード:
最終更新:2024-05-04 17:00:00
1946文字
会話率:0%
IN:0pt OUT:14pt
総合ポイント:0pt 評価ポイント:0pt
「素晴らしい発想じゃないか! さすが、我が国の兵器開発主任だ。その肩書は伊達じゃないな」
「はははは、ありがとうございます。将軍」
「して、その成功率。自信のほどは?」
「ええ、うまく行くと思いますよ。犠牲は最小限に、そして」
「与える損害は最大限、か。ははははは!」
二人は笑いながら私を見つめた。そう、犠牲とは私だ。私なのだ。
狂っている……お前たちは狂ってる! そう言えたらどんなにいいか、もしかしたら……いや、何も変わりはしないか。逆らえない。これは決定事項だ。
爆薬と共に私は彼らの言う『敵』に向かって放たれるのだ。折りたたむ>>続きをよむキーワード:
最終更新:2024-05-04 11:00:00
1441文字
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受話器に手を伸ばすと同時に電話が鳴ったので私は少し驚いた。
しかし、その電話の内容によって受けた衝撃はそれを大きく上回った。
『お、おたくの息子さんをね、い、今、こっちで預かってるんだけどもぉ』
まさか、こんなことが起こるとは思わなかった……。驚きつつも、電話相手の男のおどおどした声に思わず笑いそうになった。緊張しているのが丸わかりだ。とは言え、こんなことに慣れている者などそうはいないだろう。私は言ってやりたいことがあったのだが、相手は早くプレッシャーから解放された
いのか、金額や受け渡し場所、警察に知らせるななど、お決まりの指示を捲し立てるように喋り、早々に電話を切ったので口を挟む余地がなかった。
きっと今頃、一息ついているだろう。私もだ。大きく息を吐き、電話番号を入力した。非通知設定にして発信ボタンを押すとすぐに相手と繋がった。
『はい、もしもし』
「ああ、おたくの息子さんを預かっている者なんですけど」折りたたむ>>続きをよむキーワード:
最終更新:2024-05-03 11:00:00
4391文字
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夜。街を歩いていたら、久しぶりに高校時代の友人とバッタリ出くわしたので、近況報告を兼ねて居酒屋に誘った。
適当にビールとツマミを並べ、乾杯したのだが、友人はどこか浮かない表情。具合でも悪いのだろうか、思い返せばあまり乗り気じゃなかった気がする。おれは最近彼女ができたことを話したくて、ちょっと相手が見えていなかったなぁ悪いことをしたなぁとおれが思っていると、奴はおれに「ちょっと……」と手招きをした。大きな声で言えない話らしい。なんだよそれーと、おれは苦笑いしつつ、耳を近づけ
る。
「……この前さ、家の近くで古本屋を見つけたんだよ」
「え、古本? それがどうしたんだよ」折りたたむ>>続きをよむキーワード:
最終更新:2024-05-02 17:00:00
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ある朝。洗面台で顔を洗い終えたおれは驚いた。耳たぶがやや膨れ、少し伸びていたのだ。
膿でも溜まっているのだろうかと思ったが引っ張っても痛みはない。おまけに両耳だ。二次性徴なんて年齢でもない、名実ともにおっさんなのにどういうことなのかと鏡の前で首を傾げたが、おれはおっさんのそれらしく鈍感さを発揮し、ひとまず気にしないことにした。
だが、周りは違った。時間の経過とともにおれの耳たぶはどんどん伸びていき、またどういうわけか周りの人々の態度が柔らかくなっていったのだ。
おれ
は自分でも言いたくないが、まあ顔が良いほうではない。だが、耳たぶが伸びたことによりバランスが取れ、黄金比に近づいたのかわからないが、とにかく同僚や上司、さらには営業先の人々からも可愛がられるようになった。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-05-02 11:00:00
1421文字
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「あのー、すみませーん」
「はい?」
「週刊吉報の者なんですけど。伊原さんですよね?」
と、夕方。街中で声をかけられたおれは一瞬、戸惑った。どうやらこの週刊誌記者らしき男はおれを伊原という男と勘違いしているらしい。おれは伊原なんて男は知らないが、おそらく芸能タレントだろう。これは面白い。おれが「ああ、はい……」と訝しがるように返事をしてやると記者はどこかホッとしたような表情をし、またすぐに顔を引き締め、言った。
「今、話題のあの件なんですけどー」
どうもこの口調
からして、伊原はなにかやらかしたようだ。おれはその話すら知らないが、目の前のこの記者のことはわかる。この記者は自分の立場が強いと思っており、嗜虐心がくすぐられているのだろう、少しニヤついていた。
だが、おれは伊原なる男ではない。後ろめたいことなどないのだ。折りたたむ>>続きをよむキーワード:
最終更新:2024-05-01 17:00:00
2604文字
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街を歩いていたある男。彼はふと足を止めた。
――見られている。
……おれは別段、感覚が優れているわけではない。だが、感じる……今、おれは見られている……ああ、やっぱりだ……待ち合わせか休憩でもしているのか、壁に寄りかかっている人……立ち話をしている二人組、片方がこちらを見て、もう片方も今、おれを見た……ああ、すれ違う人も……。
普通にしているのにいったい、なぜだ……。この人数だ。ストーカーや探偵でもないだろう。それに、おれにそんな価値はない。だが、いや、だからこそ
妙だ。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-05-01 11:00:00
821文字
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かつて列車強盗を主戦場に、あらゆる悪事で大金を稼いだ大悪党、ザギール。果ては町を丸ごとその手に収め、支配者として振る舞っていた。
しかし、それに異を唱えた流れ者のガンマンが現れた。彼はザギールに決闘を申し入れ、ザギールは見せしめにせんとそれを受けた。無論、毒を盛る、決闘前夜に手下を差し向け怪我を負わせようとするなど小細工は欠かさなかった。
しかし、彼はそれを難なく押しのけ、決闘の時を迎えた。
距離を開け、向かい合う二人。見守る町人たち。風が砂埃を巻き上げ、静寂が広がる
。しかし睨み合いはそう長くは続かなかった。風が止んだ瞬間、先に動いたのはザギール。ホルスターから銃を引き抜くと同時に、引き金に指をかけ、そして――折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-04-30 15:00:00
739文字
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これは……おれがこの前、銭湯に行ったときの話だ。
湯船につかり、ふーっと一息をついたおれは、体から日頃の疲れが抜け出て行く感覚に頬を緩め、瞼を閉じ、宇宙のことを考えた。
特別な理由はない。ストレスが消え、心にぽっかりとスペースが空いたんで、何か壮大なことでも考えたくなったのだ。
しかし、ふと目を開けると、浮かび上がってきたのが陰毛だ。そう、陰毛。それは宇宙の始まり。無から作られる有機物。
いや、違う。陰毛とは思春期を迎えた辺りの男女の股間に生える毛のことを指す。そん
なことは知ってるんだ。でもこいつは今突然現れたのではないかと思わせてくる。部屋の中で『え、こんな場所に?』と見つけたとき、そう冷蔵庫の中にあったときなど、なぜだ? と腕を組んで考えたものだ。時空の歪み、ぽっかりあいた穴から現れるスペースエイリアンか……いやいやいや、ない。こいつは人体から生まれ、そして抜け落ちたものだ。折りたたむ>>続きをよむキーワード:
最終更新:2024-04-30 11:00:00
2044文字
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朝。とある町の宿屋。その薄汚れた白いシーツが敷かれた木のベッドに腰かけ、「ううぅ」と呻く、ある男。
昨晩は飲みすぎた。頭が痛む。そして記憶がまったくない……わけではない。だから呻いている。その悩みの種だけは色濃く頭の中に残っていたのだ。
「入りますよ。おや、起きたんですね。どうも、おはようございます」
「あんたは……」
「おや、お忘れですか? お二人の決闘の立会人を務める者ですよ」
ノックとともに部屋の中に入ってきた男がツカツカと窓の傍へ歩き、外を眺める。
そ
う、決闘。その約束をした記憶はあった。ただ、理由は覚えていない。恐らく酒場に居合わせた誰かと何かで揉めたのだろうが、相手の顔もふにゃふにゃであった。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-04-29 11:00:00
2604文字
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ある夜のこと。ふと気になったそれは夜空に線を引いた流れ星……かと思いきや、こちらに迫りくる隕石……でもなかった。逃げようと思う間もなく、それは旋回、及び急降下し地上に、それも目の前に降りてきたのである。
「やー、どうもどうも、ワタシは宇宙人ですってネ。正確には△□星から来ましタ、※●▽と言うんですけドー。ん? ああ、やはりこの翻訳装置でも聞き取れませんかネ。まあ、宇宙人と呼んじゃってくださイ。地球人サン」
と、フランクな口調と立ち振る舞いに、この突然の事態に直面した者
たちはひとまず胸を撫で下ろした。とはいえ、心臓は早鐘を打っている。一体なぜどうしてここに突然現れたのか。何を聞けばいいのか。
黙りこくる一同の代わりとばかりに宇宙人は喋り続けた。折りたたむ>>続きをよむキーワード:
最終更新:2024-04-29 11:00:00
944文字
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会議は二百時間目に突入した。議題はそう多くはないのだが、参加国が多いだけに進みが悪く、また異様な熱気に包まれている。
『えー、新規登録は以上に』
――うちだうちぃ!
――なぜダメなんだ! 厳重に抗議する!
――おいおいおいおいおかしいぞ! 賄賂か? あそこは要件を満たしてないだろぉ!
――言いがかりはよしてもらおう。うちはしっかりと魅力をアピールできているだけですよ。
――登録登録登録ぅ!
「う、うちこそ、今回登録されるべきだ!」
と、我が国の大臣も周囲
に負けじと、そう声を張り上げるのだが、やはり当人も無駄だと分かっているので声に勢いがない。あの議長は一度決めたことを覆さない性質なのだ。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-04-28 15:00:00
893文字
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困った困った、えらいことだと地球人類は頭を抱えていた。
ある時、飛来した宇宙船。出迎えた人々に彼らはジルタ星人と名乗った。と言っても、最低限の言葉しか覚えては来なかったようだ。それも仕方がない。相手が格上。後々知ることになるが地球の文明レベルが一応、最低レベルではあるが宇宙政府の定める基準に達したので交流にやってきたらしい。ゆえに地球人類側は身振り手振り、知識を総動員、媚びへつらいどうにか彼らと友好関係を結び、ホッと一息。
最終更新:2024-04-28 11:00:00
989文字
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どこか腑に落ちない、と首を傾げるように地面に立ち並ぶ木の杭。それらを結ぶ鉄線が背の高い茶色の雑草がひしめく平原とひび割れた道路を区切っている。
と、そこから一匹の灰色の犬が出てきた。耳と頬が垂れ下がり、道路をヒョコヒョコと歩いているが、足を怪我しているわけではない。ただそうしたほうが同情を買えると思っていただけ。そして、それは正しかった。
今、一台のトラックが停まり、犬は開いたドアから助手席に乗り込んだ。吹いた風は雑草をさざめかせ、まるで映画のエンドロール。遠ざかるトラ
ックの背に拍手を送っているかのようだった。
確かに、物語はこれで終わりだ。だが、それでは何の事かまるでわからない。ゆえに遡るべきである。彼らのためにも。折りたたむ>>続きをよむキーワード:
最終更新:2024-04-27 11:00:00
4540文字
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昨今の若い連中は電話対応が苦手だ。オフィスの電話が鳴っても、取ろうとする素振りを見せないどころか席を立ったり、顔を伏せたりする。いや、苦手どころか恐怖の象徴のようだ。顔を伏せるというのも、本当は一刻も早くその場から離れたいが、足がすくんで動けないのだ。
まあ、気持ちはわからないでもない。おれも入社したてはそうだった。あの音を聞くとビクッと体が硬直し、憂鬱な気持ちになったものだ。おれは慣れたが、あまりに苦手で会社を辞めた同期もいる。尤も、電話対応の他に理由があったかもしれな
いが、うちの新人連中を見ているとそれだけだったとしても不思議ではない。折りたたむ>>続きをよむキーワード:
最終更新:2024-04-26 15:00:00
3093文字
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やれやれやれ、困った困った。素晴らしい小説を書き、それを公開するに留まらず、公募に出そうなんて考えていたのだが、なんと悪いタイミングで、この現実で事が実際に起きてしまったのだ。
そうだ、あのウイルスだ。そして、その小説の内容というのがウイルスに感染し大勢が苦しみ死ぬパニック物。しかも、その描写が我ながらよく書けていたのだ。
この世の中、どこの誰が見ているかもわからない。大勢死者が出たこともあり、不謹慎だ! と騒ぎ立てる輩が出てくるのは目に見えている。いやぁ、そういった連
中がまあ多いこと多いこと。だから泣く泣く封印することにしたのだ。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-04-26 11:00:00
835文字
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タカコはその日、久しぶりに実家に帰ってきた。上京してからというもの仕事が忙しく、中々顔を見せられずにいたのだ。ドがつくほどの田舎であることに加え、母が亡くなっており、家にいるのが父親だけというのも腰が重い理由であった。浮いた話でもあれば、また違うのだろうが中々そうもいかない。父親はいわゆる昔の人間で、「結婚はいつだ?」「早く仕事を辞められるといいなぁ」「孫の顔はいつ見れるのかなぁ」などと、悪気はないのだがタカコが気にしていることをずけずけと言ってくる。婿に後を継いでほしいら
しい。
確かに、父親は平均的な農家よりは規模が大きく、安定していると言えるが、実家の農業を継いでほしいとは言いずらい。いや、そもそも、そんな相手自体いないのだ。
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最終更新:2024-04-25 15:00:00
2254文字
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平和な日々が続いていた。尤も、『ちっとも平和じゃない!』という人もいるだろう。戦争はなくとも犯罪はある。いじめに軋轢、競争の社会。人間であるゆえ避けられないことも多々ある。
しかし、ここ最近はどことなく人々の心は穏やかであった。
理由を言葉にするのは難しい。冬が過ぎ、春が訪れたからそう感じているのかもしれない。稼ぎの良い親の庇護下。株の投資が順調など、安定が保証されているような気分。世の大多数の人間に不安や憂鬱とした気持ちはなかったのだ。
それゆえか、経済情勢も悪くな
い。そしてそれがまたこの平和な日々を補強している。
なんか気分がいいなぁ、と夜になっても人々から笑顔が消えず、ストレスがなくとも酒はうまいものだ。どこの飲み屋も盛況。酒が入っても争い事はなく、平和であった。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-04-25 11:00:00
2583文字
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都会は文字通り、ごみごみとしていた。
人、車。毎秒蠢く雑踏。歩けば落ちているゴミが足に当たり、鼻をひくつかせれば肛門を拭いたトイレットペーパーのような香りがした。
息苦しい……。そう感じた彼は立ち止まり、遠くを見つめる。尤も、伸ばした視線はすぐに目の前のビルに衝突し、ギラッと跳ね返る太陽光に目を背ける。
せめてこの精神だけでも逃がしたい、と彼はそのまま目を閉じ、思い馳せる。連なる木々。流れる小川。風に揺られ……
「おい、おーい」
「あ、うん、なんだ?」
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最終更新:2024-04-24 16:00:00
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