20xx/6/10 12:00
阿久津将司(あくつまさし)は今、仲間と共に北海道の山中に来ていた。
仕事だからだ。
この日本にはダンジョンがある。
ダンジョンが突如現れたのが10年前。そこから魔物があふれる世界になった。
阿久津将司(あくつまさし)はごく普通の家庭に生まれ、12の時にこのダンジョン出現騒動で大混乱した中、翌年のチップ吸収で【空間把握】という固有スキルが発現し、めでたく防衛隊という国の防衛に関する任務にあたる公務員となった。
22になった俺は防衛隊の第17
班の隊長として新たな任務のために仲間を連れ、今回のターゲット『黒瑪瑙(オニキス)』という組織幹部を確保するというもの。依頼書には国家転覆を企む組織とだけ記されている。
将司は今回の任務に不審なものを感じていた。
「隊長!何難しいこと考えてんすか!直子ちゃんのことっすか?うまくいってないんですかねー」
「おい!冗談でもいって良いことと悪いことがあるぞ!」
そんなことを言いながら目的の施設へ入る。3名ほどの若い女性が待ち構えていた。
窓の明かりに照らされた女は、今回の最重要人物、宮城由香里(みやぎゆかり)。
「悪いことは何もしてないわよ。むしろ悪いことをしてるのは・・・あなた達のボスの方・・・かしらね」
「ほお、詳しく聞きたいもんだね」
俺の言葉に、目の前の女はニッと口を緩ませたが・・・
「ぐっ・・・お前、何を・・・」
背後からの痛みにとっさに体を前に飛び振り返った。
仲間である吉田は長剣に滴った俺の血を一振りして落とすとまたこちらに対して身構えた。
「そういう、ことかよ・・・」
「まだ動けたとはやっぱり隊長は・・・今日のところはここで引き揚げます!そうだ!直子ちゃんは俺っちがちゃんと慰めておいてあげますからね・・・」
吉田が舌なめずりをしながらその小屋を出ていくのを、叫びながら見逃してしまった俺は・・・薄れゆく意識の中で、直子の笑顔と、そして苦痛に歪む顔を想像していた。
過激なニュースで瞬く間に犯罪者としてさらされ、赤い悪魔と呼ばれた男の非日常な1週間の悪足掻き。
そんなお話
※1週間、実時間でお届けします。無理のない範囲でお楽しみいただければ幸いです。
その都合上、極端に短い部分もございます。ご了承くださいませ。
稚拙な文章ではありますが、お楽しみいただければ幸いです。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-06-16 19:00:00
33988文字
会話率:45%
IN:0pt OUT:4pt
誰からも一目置かれる結城には常に取り巻きがいる。その中には事大主義が二人いた。遠野と田辺だ。遠野は積極的に結城の武勇伝を聞きたがり、田辺はその隣で目をキラキラしながら話を聞く。田辺は結城に憧れながらも、近場の遠野に気やすさを感じている自分を感じていた。田辺が欠席した雨の日の翌日、遠野は結城に関心を示さず一人で過ごしていた。他の取り巻きは一人では臆して結城に近付けないのだと言ったが、結城はその推測は間違っていると察する。食堂の席で欠席した田辺の話題を出した結城は、遠野の口から出
る思惑を聞いた。
結城…成績がよく気さくでクラスの中心人物。影響力があり支持率高い。ちょいちょい悪いことをしてるけどそこがかっこいいと憧れてる人が多数。
遠野…事大主義。結城の話を積極的に聞いている取り巻きの一人。好きな食べ物はトマト。
田辺…フツメン。結城を尊敬してるし理想の人だと思ってるのに、近場にいる遠野を好きになってしまって自分の感情に納得できてない。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2017-06-07 19:17:52
3482文字
会話率:53%
IN:0pt OUT:53pt