黒森は仮に〈暗黒寓話〉シリーズと名付けた、架空の国々を舞台にした作品を時々書いているが、これもそのひとつ。大抵はグロテスクな笑いに満ちており、滑稽な中に何処か物悲しい感じを漂わせていないでもない。尚、この話に登場する「矮人《わいじん》」は、怪奇幻想小説の愛好家であればお察しの通りアーサー・マッケンの"the Little People"を平井呈一が訳した「矮人《こびと》」から取ったものだが、完全に真似た訳では勿論なく、色々と書き散らしている内に、ラヴクラフトや千一夜物語の食屍鬼《グール》、それに人類学や民俗学の方面から得た様々な原型的イメージがごっちゃになってしまったらしい。折りたたむ>>続きをよむ