時は明治時代。
維新を経て近代都市に生まれ変わった東京。そこは人と物で溢れかえり――そして、『勿忘神』(わすれがみ)と呼ばれる化け物が跋扈していた。
長く、大切にされた器物には、魂が宿り『付喪神』となる。しかし、近代化を進める人々にとってそれは、ただの古い物にすぎない。
理不尽に捨てられ、壊されて――自らを蔑ろにする人間を恨んで変じた姿こそ『勿忘神』なのだ。
闇を抱える明治東京。そこにひとりやって来たのが、元気が取り柄の少年、立柴新太だった。
亡き父が手放した家伝の
刀を探すため――そんな目的を胸に上京した新太だったが、化け物に襲われそうになっていた子供を助けたことがきっかけで、彼の世界は変わる。
『勿忘神』と戦う華紋師の世界に足を踏み入れることになったのだ。
大和なでしこ! と思いきや、ビシバシ厳しいお姉さん、向坂ヒナギ。頼れる兄貴分! と思いきや、ちょっと変人、玉虫染二。
賑やかな先輩たちや、相棒の『付喪神』九狼に囲まれて、新太の日常は今日も花開く。
文明開“華”、妖器譚(あやかしきたん)――ここに開幕。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2020-06-27 13:33:49
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