「愛する人が私にはいる。だから、君との婚約は時がくれば破棄する。短期間でも侯爵家に嫁げるのだ。文句はないだろう?」
それが、私の夫となる人の第一声だった。
自分の価値なんてその程度だと知っていたはずなのに、どうしてか少し涙が出そうになる。
それでも彼は、実家から離れさせてくれた人なのだ。
だから、例え私を憎んでいても、恩は返さなくてはならない。
……そう決意してから三年、彼が想い人を強引に家に迎えたことで、半ば追い出されるように、私の契約結婚は終わった。
最終更新:2022-06-11 12:00:00
135602文字
会話率:27%
IN:0pt OUT:7pt