冬辻探偵事務所に所属する真白には、一風変わった“特技”があった。
それは、あらゆるものの境界を操作し、歪め、滲ませ、時に断ち切るというもの。
真白はその奇異な特性を生かして、叔父の事務所で唯一の所員として働いていた。
いつものように高校へ潜入していた真白の耳に、ある日女子生徒の噂が飛び込んでくる。
旧校舎の鏡に『出る』という、一昔前に流行ったような他愛ない怪談ネタだったが……
人も、怪異も、境を越えて。
真白は今日も、見知らぬ誰かの日常となる。
最終更新:2022-04-23 00:00:00
47744文字
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