東京都は渋谷にある私立夢の坂女子高等学校は、俗にいう進学校である。
文武両道をかかげ、いいとこのお嬢様なんかが通うらしいこの高校だが、今年の新入生にとある『異質物』がいた。
常に一人で過ごし、その耳には小さな顔に見合わぬ大きく無骨なヘッドホン。周りの1年生が手さぐり状態で学校に慣れようとする中で、私物のオーバーサイズのパーカーを着こなす、常識から外れた『異質物』が。
しかしこの少女、綿野 虹にはそれで良かった。人と話すより、日本のバンドなんかのいわゆる『邦ロック』を聞く事
が大好きな、一般から見れば変わった少女だった。
けれどその平穏も長くは続かなかった、ある日のバイト帰り、明らかに援助交際めいた光景を綿野は目撃する。
さえないサラリーマンと、綿野が通うクラスの委員長、品行方正で真面目でいいとこのお嬢様である飴屋 蒼椎の二人の姿を認めたあの日から、日常の歯車は少しづつずれていった。
※以前投稿していた、同名の小説の再編集版となっております。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2020-11-21 22:04:19
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