-甘美な夢- 小説家になろう 更新情報検索 - 新着順 -
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作:K.Mayfield
ハイファンタジー
連載
N6293JD
死は常にその背に寄り添い、生に対して甘美な夢を囁く。
生まれた時から私の存在は生きていても死んでいてもそう大して代わり映えがなく、今となっては死んだ方がましという有り様だ。
私はもうずっと、どちらつかずのままその中間に佇んでいる。
その間にも生と死との境は曖昧に滲み続け、手を伸ばしたそこで私はいつでも死を掴むことができた。しかしながらこの死は触れた途端に嬌声を上げて身を捩り、まるで陽炎のごとくするりと私の手から逃れ去ってしまうのだ。そしてこの手の中には虚ろな生だけが残
され、まるで陽光に晒され乾いた砂のようにさらさらと儚く零れ落ちていく。
私という存在は色もなければ味もない。音もなければ香りもない。
ただそこにあり、ただここで澱のように沈んでいる。
そのように鬱屈した日々を過ごしていたある日のことだ。私は古びて朽ちかけた教会でひとり夜を明かすはめになった。今では村人でさえ顧みることのない、森の奥の名もなき教会の、その中で。
あの日の私は、今となっては理由さえ思い出せない些細なことでウドと諍いし、煮えたぎる怒りを冷ますためがむしゃらに馬を走らせていた。そしていつしか森の魔性に捕まり、気付けば帰り道を見失い、情けなくも途方に暮れていたまさにその時、その教会は何の脈絡もなく、まるで影の隅からぬるりと抜け出すような不快さと唐突さで私の前に立ちはだかったのだった。
何とも妖しい教会だった。
その悍ましい外観を見つめるだけで私は身震いし、人の業では成しえない何かを感じて思わず息を飲み、そして胃の底から湧き上がる悪寒の前に戦慄した。しかし何の矛盾か、その姿は私の中に筆舌しがたい敬虔な気持ちも同時に掻き立てたのだ。私はただ、その異様の姿を前に立ち尽くすことしかできなかった。
何とも不思議な教会だった。
入り口の扉はすでに時の彼方へと消え去り、置き去りにされたように開いた暗い穴が静かな闇の息遣いを反射する。
しばらくして我に返った私は馬を降り、余計な音を立てぬようそっと中に足を踏み入れた。恐怖や畏敬の気持ちよりも、その瞬間だけは好奇の気持ちが勝っていたのだろう。
数歩を歩けばすぐに、聖堂の僅かな広がりが私を迎え入れた。
満月の夜だった。
月明かりが失われた天井から煌々と降り注ぎ、歳月に沈む過去を柔らかく照らし出していた。
私はそこで、見つけたのだ。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-06-26 22:04:10
7985文字
会話率:8%
IN:0pt OUT:4pt
総合ポイント:0pt 評価ポイント:0pt
【煮ようが、焼こうが、妻にしようが、妾にしようが、使用人として使おうが、どうぞお好きに】
リンヒニア国の侯爵家令嬢ユリシアは、ダンス一つ満足に踊れない出来損ない令嬢。そんな彼女は雑な書簡と共に、隣国の大公グレーゲルの貢物ものにされることになった。
マルグルス国の国王陛下の甥であるグレーゲルの二つ名は”血濡れの大公”───気分次第で首をすっぱり切り落とす残忍非道なヤバイ奴。付け加えると、どうも一途に愛する女性がいるようで。
というなんか色々問題がありそうなグレーゲル
大公閣下の支配下で生き抜く為には、存在を消して大人しく過ごすのみ。
しかし、ある日グレーゲルに呼ばれこう告げられる。
「君を正妻として迎えることに決めた」
「……はぁ?」
政略結婚でも恋をして、愛し愛されることを望む大公様と、なぜか自分がお飾り妻だと思い込む侯爵令嬢の、北の最果てで繰り広げられるすったもんだの恋物語。
※アルファポリス様にて以前書いたものを改タイトル、加筆修正して数話まとめて投稿しています。なろう様でも途中まで投稿してました。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2022-01-20 22:09:55
142756文字
会話率:35%
IN:0pt OUT:0pt
総合ポイント:11676pt 評価ポイント:7710pt
世界は滅亡し、甘美な夢のみが残る。
キーワード:
最終更新:2021-11-27 13:17:02
716文字
会話率:24%
IN:0pt OUT:52pt
総合ポイント:0pt 評価ポイント:0pt
「なんだか、長い夢を見ていたような気がする」
世界を創造した根源たる何か、大いなる存在は、自身の創り上げた世界を眺め、考えていた。何の意図も、何の指示も与えずに創ったはずの生命が、まるで義務であるかのように何かを『演じて』生きている。それは一体何の作用によるものなのか――大いなる存在は、その答えを探しに、世界へ降りた。
天上界、人間界を行き来しているうち、この世に生じている不具合は、自身が無意識のうちに抱いている『願い』によるものだと気づく。
「私はただ、甘美な夢が
見たかった――」
そして明らかになる不具合の正体。大いなる存在たる彼女の抱く、唯一の願いとは?
※この作品は『カクヨム』にも掲載しています。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2021-10-30 20:22:33
12993文字
会話率:56%
IN:0pt OUT:12pt
総合ポイント:0pt 評価ポイント:0pt
作:OZOMU=オゾム
現実世界[恋愛]
連載
N2049FB
二次元世界の女子に本気で心を捧げる主人公『高見沢 鏡四郎(たかみざわ きょうしろう)』高校二年生は異世界へ召喚される事を夢見ていた。
ファンタジー世界で可憐な二次元美少女の為に生き、そして死ぬ、その甘美な夢に毎晩のようにベッド上で彼は悶えていた。
彼は日々トレーニングに励み、己のパラメータを上げる事に余念がない。
それは全て、来るべきその時のためである!
ある日、彼の家の隣に一人の三次元美少女が引っ越してきた事をきっかけに、彼の日常は大きく変わっていく。
異世界へ行くという途
方もない夢をこの現実で見続ける彼と、その周りを取り囲む仲間達による青春ラブコメディ!!
注・異世界には召喚されません。
注そのニ・このあらすじは予告なく変更される事があります
この作品は「ノベルバ」「マグネット」にも掲載しています。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2019-12-01 00:00:00
89373文字
会話率:54%
IN:0pt OUT:16pt
総合ポイント:26pt 評価ポイント:16pt
現実に疎んだ男は、ある日不思議な夢を見た。
これ以上ないほど理想的で優しく、欲望を満たしてくれる美女。
憎いものが何もない、美しく暖かな家。
現実の苦しみを忘れさせてくれる夢のなかに、男は溺れる。
しかし、怠惰で甘美な夢によりかかりすぎた男の末路は……
最終更新:2017-06-19 10:31:46
8053文字
会話率:14%
IN:0pt OUT:22pt
総合ポイント:103pt 評価ポイント:81pt
I will think of you.
最終更新:2016-10-13 22:09:48
353文字
会話率:0%
IN:0pt OUT:52pt
総合ポイント:2pt 評価ポイント:2pt
むなくそ王子による婚約破棄に、昔話(浦島太郎)成分を足したもの。【ご注意】①語り手である王子がすごく嫌な男です。②最後は「ざまぁ」ですが、禁じ手のタイプの「ざまぁ」かもしれないです。以上2点を重々ご了承のうえ、お読みいただけると嬉しいです。……書きながら、これはないんじゃないかなと思っていたのですが、書き始めると最後まで書かずにはいられず、書いたら投稿したくなり。取扱い注意の誰得物件です。
最終更新:2015-09-21 00:32:10
5006文字
会話率:7%
IN:0pt OUT:20pt
総合ポイント:1206pt 評価ポイント:966pt
澪峰小夜子(ミオミネサヤコ)は毎週決まった夢を見る。
どこか知らない草原で鳥に身を啄まれる夢、そして誰かにキスをされる夢。
幼い頃から見せられてきた奇妙で甘美な夢に、そしてまだ見ぬキスの相手に小夜子は心を奪われ続けて生きてきた。
その一方で彼女は、謎の多い世界史教師・西縁(ニシエニシ)に徐々に惹かれていく。
最終更新:2014-07-19 14:14:35
10666文字
会話率:31%
IN:0pt OUT:90pt
総合ポイント:2pt 評価ポイント:2pt
決して開けることない瞳で、君はどんな夢を見てるの?話し掛けることしか出来ない僕を、どうか許して…君の横顔を覗く度に、僕は祈らずにはいられない。君の夢が、甘美なものでありますように………と。
最終更新:2006-12-05 16:01:43
2200文字
会話率:32%
IN:0pt OUT:59pt
総合ポイント:14pt 評価ポイント:14pt
検索結果:10 件
1