「女の十手持ちで悪かったなぁ。だがよ、おいら、見逃しゃしねぇぜ!」
雨の振りそぼつ西亥堀河岸。女郎花に埋もれる娘の猟奇死体…………。
しかし、駒吉は、力なく小さな溜息を吐いて笑った後、自分から歩き始めた。
「やっぱり、なぁんにも、わかっち
ゃいない」
お静は思わず駒吉を追いかけた。
「でも、もう気が済んだだろう? あんたのことを慕ってる元半玉さんに会ってきたぜ。今じゃ押しも押されもしねぇ日本橋の芸者さんだそうだ。とっても感謝していたぜ。これを機会に千世に戻りな」
「おまえみたいな小娘が指図するんじゃないよ。わちきのことは、わちきで決めるさ」
駒吉がお静を鋭く睨んで顔を背けた。顎を少し上げて粋に遠い夜空を見上げたのは、最後の意地尽だったのかもしれない。
女岡っ引きの静。得意は捕物で命を落した母親ゆずりの百発百中簪投げ。病床の父親が推理し、正義感の強い娘が簪投げの秘技で悪を追い詰める。吾妻橋の文吉シリーズ姉妹編です。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2011-08-06 01:00:00
75211文字
会話率:43%
「自分が幸福だったなんて気づきもしませんでした。不運なんてものは、前触れもなく突然やって来て、そんなことを教えてくれるんですね」少し落ち着いてから太兵衛の女房は誰に言うともなく呟いた。
何を斬っているのだろうか?
ふいにそんな疑問が駒
吉の頭に浮かんだ。何故あの男の考えていることを覗こうとしたのだろうか。いや、覗こうとしたのではない。あの男の体が訴えているのだ。余りにも強い怒り、怨嗟、慨嘆が入り混じった目の光は底が無いほど暗かった。きっとあの男は、この世にある全てのものを斬ってしまいたいに違いない。
この世を怨んでいる。そして、自分自身さえも憎んでいる。
岡っ引きであった父親の後を継いだ文吉の前に、連続辻斬り犯があらわれる。辻斬りの目は世の中に対して、そして自分自身に憤りを感じている悲しい光を放っていた。文吉の幼馴染芸者の駒吉が自ら囮となって辻斬りを呼び寄せる。しかし、伯耆流抜刀術の使い手である吉川八左衛門の殺戮はだれにもとめられない。吉川八左衛門の前に立ったのは同じ長屋に住む手習い指南所の師匠、竹光を腰に差した数馬であった。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2011-07-18 08:22:14
47950文字
会話率:45%
特に突出した才能も能力も持たない普通の高校生・矢作橋 築(やはぎばし きずき)はバイトからの帰り道で異世界から来たという謎の老婆と遭遇する。老婆の住む異世界ではこの世界の統治権を巡って争いが起きていた。その争いは異世界内に留まらずこの世界
も巻き込んでいた。築はこの争いを鎮める『駒』に偶然にも選ばれてしまっていたのだ。そんなファンタジーなことを真に受けなかった築は、平凡な高校生活を継続していたが、今までには考えられないような非現実的な出来事に巻き込まれ始める。異世界人による代理抗争の『駒』となってしまった高校生のぬるい以上熱い未満な物語。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2011-05-23 08:37:57
54185文字
会話率:51%
利用されたと知って、自分はどこへ向かえばよいのかわからなくなった少年は、次なる世界で何をなすのか・・・
※主人公最強系です。
最終更新:2011-05-03 02:43:27
5715文字
会話率:40%
カヤが幼い時分に、誤って異世界に召喚されてから十年以上がたっていた。
次第に帰る事を諦めていたカヤはある日、魔術師の青年ティーリから、自分と同郷の少女が召喚された事を告げられる。
召喚具の破損の所為で絶対に元の世界に帰れない、『決して
異世界の人間だと知られてはいけない』カヤと、幼い日にカヤを誤って召喚してしまって以来、『彼女の人生を狂わせてしまった』と、贖罪の意識に苛まれているティーリ。
不思議な関係の『加害者』と『被害者』は、いつしか形を変えていたそれぞれの感情に気づくが……。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2011-03-31 17:42:00
38706文字
会話率:24%
部員がなかなか集まらないキャプテン稲葉を率いる野球部は退部寸前だった。そんな時、急な稲葉の転校。
このままではダメだと、横井良はある企画を持ちかけた。
“記念試合”
良と稲葉鈴斗と大久保美里は協力して試合の駒を進めてく―――
――――折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2011-01-09 19:28:44
7385文字
会話率:45%
――それは黒白の悲喜劇
盤上の駒はそろった
さぁ、ゲームを始めよう
最終更新:2010-11-23 09:48:56
613文字
会話率:8%
山に囲まれたエルギエーン地方の城主の娘メルグウェンは、勝気でお転婆な、何よりも剣術が好きな女の子。
父親はそんな彼女を政略結婚の駒にすることに決め、修道院に閉じ込める。
一方、貴族の次男坊であるガブリエルは、同じ境遇の仲間達と雇兵として戦う
毎日を送っていた。
そんな二人が出会い、少しずつ近付いていく様子を、吟遊詩人の歌う騎士道ロマンスのようにゆっくりと紡いでいく欧州中世風の物語です。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2010-11-01 19:54:53
241050文字
会話率:27%
寄せ集めの家族の中で育てられた女子大生、駒村結の日常はモノクロだった。生きている意味さえ考えるのが億劫になっていたある日、結は大学で劇団員をしている諏訪遥という青年に出会う。まっすぐな彼の生き様に惹かれていく結だが、遥には人に言えない想いが
あった。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2010-08-11 02:54:14
4020文字
会話率:34%
恋した人が死んでゆく。少年はそのなかで、あるものを求めるようになった。
キーワード:
最終更新:2010-06-24 22:00:00
897文字
会話率:0%
恋人と喧嘩をしてしまった青年が、気分転換をしにいく話。
最終更新:2010-04-21 05:38:59
2971文字
会話率:29%
夏目秋霖は写真部に所属する高校2年生。ある朝、普段は一切関わりのない実父の訃報が舞い込んでくる。
最終更新:2010-01-26 14:32:02
1993文字
会話率:56%
物語はほんの数時間での出来事。米国帰国した主人公が実の父親を殺害し、大阪市内を逃亡する。現在と過去、さらには空想の3世界が交互に殺害動機の事実に迫る構成。失望と挫折、生きる気力を全て削り取られた主人公が行き着いた末は、キリスト教伝道をして
いる米国人宣教師の「教会」だった。
この主人公を通し、人が抱く空しさ、悲しさを光が見づらい現代社会と絡ませながら、生きる希望と真正面に向かい合う。屈折した文章や難解な表現をすべて排除し、荒々しくはあるが、「生きる」とうい意味だけに焦点を絞った。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2010-04-03 01:33:54
13328文字
会話率:3%
この世には存在しないとされる「怪盗」――。
しかし、もしこの世に「怪盗」が存在したら……?
すべては、日本で生まれた怪盗R・B。
世界各地を飛び回り、神出鬼没、大胆不敵。
怪盗R・Bに魅せられたすべての駒が集まり、「地球」とい
うゲーム盤で、あなたは驚愕な瞬間を目にすることになる……。
怪盗R・Bを中心に、運命の歯車が少しずつ狂わされる戦闘アクション・ダーク物語!折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2010-03-15 21:32:36
11759文字
会話率:39%
杉本7段は中学将棋の主催者である。
アマ有段の中学生ばかりの子に弱々しい女の子を見たのである。
「女の子かっ…この中学大会では珍しいなっ」
興味からチラッと手筋を覗いた。
「えっ本当かっ!」
杉本は女の子の軽快な捌き駒に魅いる。そ
して終盤の手筋を見て唸ってしまった。
劣勢で難局は一目みてわかる。どうしても敗着である。
(敗け覚悟で)飛車の手筋を強引に切り開こうとしていく。
「この劣勢からどう思って飛車筋を指すんだ。この娘さんは将棋を知っているのか。それとも…」
プロの杉本から見て先の読めない難局。相手の手筋が正確に王将の詰みを示していく。
パチン!
「あっ!」
女子中学生は局面を打開して終盤を捌いてしまう。
終盤まで縺れ劣勢だった局面は信じられない強引な将棋となり飛車を打ち込み逆転勝利。
「フウッ~危なかったわ」
それが師匠杉本と愛弟子中学生棋士・伊緒の出会いであった。
杉本に弟子入りをしプロ指導を受ける。女流奨励会は快進撃を続け勝ち進む中学生女流棋士伊緒の姿があった。
可愛い将棋屋さん伊緒ちゃんと勝負してみますか。
「私(将棋は)手加減いたしませんよ」
伊緒は厳しい女流棋士の世界で勝負!
かわいいお嬢さんは盤面を睨めば怖い勝負師になる折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2009-08-22 20:25:23
66363文字
会話率:30%
名門ランスロット家の跡取りをかけて13組の子供たちがチェス勝負を行うことに。ところがその駒は本物の人間で…?
最終更新:2009-08-11 18:12:15
28239文字
会話率:41%
少女は世界をつまらないと考える。自分を含んだ全てが、無意味なものだと。様々なおとぎ話が交じり合う物語
最終更新:2009-07-05 22:40:02
4702文字
会話率:40%
『人間』という存在を、軽く否定してしまった、作品と呼べるかさえもわからない、詩なのか物語なのか……
最終更新:2009-04-24 16:29:13
1085文字
会話率:0%
神様は、人とは別の存在です。でも、そんな神様も人に語ることが好きで好きで、仕方ないのです。これは、そんな神様が語る悲しくて可笑しい物語。少女と青年と兎の、運命は何色になるのでしょうか?そんなもの、神様さえ知らないのですよ…
最終更新:2009-03-19 20:03:22
2265文字
会話率:7%
能力や性格に問題アリ。本来あるはずも無い部隊、それが帝国魔術部零番隊。若い隊長とその部下達が、さまざまなミッションの解決に挑む。個性的な面子と能力、そしてチームワーク(?)を武器にして、今日も無理難題を(主に力業で)解決する……はず。
最終更新:2009-06-23 00:21:14
10338文字
会話率:30%
高校二年生に進級した渋谷君尋《しぶやきみひろ》には以前からある噂があった。始業式の翌日、君尋が屋上で昼寝をしていると、大して親しくもない駒井蓮壱《こまいれんいち》がやって来て、何の前触れもなく抱きしめられる。そして、君尋に付き纏っていた噂話
を持ち出した。――『お前、矢上先輩と出来てただろ?』――その問いかけを仕掛けてきたのは駒井なのに、君尋の目に映った表情はひどく辛《つら》そうなもので…?折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2009-03-04 22:02:15
21168文字
会話率:32%
前世、輪廻、転生。真実味に欠ける単語達。不意に現れる曖昧に包まれた映像、襲われる言葉に出来ない不安。思い出す事さえ忘れてしまった記憶。現在と過去。そして、未来。それらが交じり合う時。壮絶な戦いが幕を開ける。戦いの果てに在るモノ。それは戦いの
駒となった普通とは全く違う日常を送る者達の想像を遥かに超えるモノだった。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2008-01-30 03:47:08
7579文字
会話率:11%
前世・輪廻・転生。真実味にかける単語達。時折、現れる曖昧に包まれたビジョン。不意に襲われる言葉に出来ない不安。『思い出す』事さえ忘れてしまった記憶。現世と前世。現在と過去。そして、未来。それらが交じり合う時…神のチェス盤の上、壮絶な戦いが幕
を開ける。戦いの果てに在るモノ…それは戦いの駒となった『普通』とは全く違う日常を送る者達の想像を遥かに越えるモノだった…折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2007-10-07 10:12:56
89949文字
会話率:35%
人というものは本当に何十億人と生きているのだろうか。実は、俺1人、ほかは誰かの駒。上には上がいる。
最終更新:2007-05-16 11:02:05
758文字
会話率:0%
ある日、高校生<川治新騎(カワジアラキ)>は殺人現場を目撃してしまう
最終更新:2007-05-12 22:46:22
3458文字
会話率:23%
人を殺して独房で孤独に過ごしていた猟山、後二十日で釈放の所で、一人の女が訪ねてきた
最終更新:2006-10-12 00:23:13
3490文字
会話率:72%