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作:雉白書屋
ヒューマンドラマ
短編
N4679IX
 昨今の若い連中は電話対応が苦手だ。オフィスの電話が鳴っても、取ろうとする素振りを見せないどころか席を立ったり、顔を伏せたりする。いや、苦手どころか恐怖の象徴のようだ。顔を伏せるというのも、本当は一刻も早くその場から離れたいが、足がすくんで動けないのだ。  まあ、気持ちはわからないでもない。おれも入社したてはそうだった。あの音を聞くとビクッと体が硬直し、憂鬱な気持ちになったものだ。おれは慣れたが、あまりに苦手で会社を辞めた同期もいる。尤も、電話対応の他に理由があったかもしれな>>続きをよむ
キーワード:
最終更新:2024-04-26 15:00:003093文字会話率:60% IN:0pt OUT:3pt 総合ポイント:0pt 評価ポイント:0pt

作:雉白書屋
その他
短編
N4677IX
 やれやれやれ、困った困った。素晴らしい小説を書き、それを公開するに留まらず、公募に出そうなんて考えていたのだが、なんと悪いタイミングで、この現実で事が実際に起きてしまったのだ。  そうだ、あのウイルスだ。そして、その小説の内容というのがウイルスに感染し大勢が苦しみ死ぬパニック物。しかも、その描写が我ながらよく書けていたのだ。  この世の中、どこの誰が見ているかもわからない。大勢死者が出たこともあり、不謹慎だ! と騒ぎ立てる輩が出てくるのは目に見えている。いやぁ、そういった連>>続きをよむ
キーワード:ショートショート
最終更新:2024-04-26 11:00:00835文字会話率:39% IN:0pt OUT:4pt 総合ポイント:0pt 評価ポイント:0pt

作:水津光陽
ローファンタジー
連載
N8184IO
異世界に転移した朱鳥白雉。魔王を倒すも王国の裏切りで処刑されてしまう。目覚めるとそこは日本によくにた世界だった。飛鳥郷という人物になり、好きなように生きる事とした。この日本にはダンジョンが存在しており、それを活用することで楽に生活出来る。そんな彼に様々な人々に遭遇するお話。
キーワード:R15残酷な描写あり異世界転生異世界転移冒険魔法スキル能力ダンジョン最強日本男主人公元勇者チート
最終更新:2024-04-25 22:00:00199804文字会話率:64% IN:0pt OUT:63pt 総合ポイント:1454pt 評価ポイント:540pt

作:雉白書屋
空想科学[SF]
短編
N3534IX
 タカコはその日、久しぶりに実家に帰ってきた。上京してからというもの仕事が忙しく、中々顔を見せられずにいたのだ。ドがつくほどの田舎であることに加え、母が亡くなっており、家にいるのが父親だけというのも腰が重い理由であった。浮いた話でもあれば、また違うのだろうが中々そうもいかない。父親はいわゆる昔の人間で、「結婚はいつだ?」「早く仕事を辞められるといいなぁ」「孫の顔はいつ見れるのかなぁ」などと、悪気はないのだがタカコが気にしていることをずけずけと言ってくる。婿に後を継いでほしいら>>続きをよむ
キーワード:
最終更新:2024-04-25 15:00:002254文字会話率:92% IN:0pt OUT:4pt 総合ポイント:12pt 評価ポイント:10pt

作:雉白書屋
純文学
短編
N3533IX
 平和な日々が続いていた。尤も、『ちっとも平和じゃない!』という人もいるだろう。戦争はなくとも犯罪はある。いじめに軋轢、競争の社会。人間であるゆえ避けられないことも多々ある。  しかし、ここ最近はどことなく人々の心は穏やかであった。  理由を言葉にするのは難しい。冬が過ぎ、春が訪れたからそう感じているのかもしれない。稼ぎの良い親の庇護下。株の投資が順調など、安定が保証されているような気分。世の大多数の人間に不安や憂鬱とした気持ちはなかったのだ。  それゆえか、経済情勢も悪くな>>続きをよむ
キーワード:ショートショート
最終更新:2024-04-25 11:00:002583文字会話率:63% IN:0pt OUT:6pt 総合ポイント:0pt 評価ポイント:0pt

作:雉白書屋
空想科学[SF]
連載
N5564HS
ショートショート・短編・掌編。古いものをこちらにまとめました。 ジャンル・長さは色々です。 奇妙だったり不穏だったり理不尽、王道、くだらない、など。オチは用意しているつもりです。 お読み頂きありがとうございます。
キーワード:ショートショート短編
最終更新:2024-04-24 17:00:001205643文字会話率:29% IN:0pt OUT:7pt 総合ポイント:124pt 評価ポイント:88pt

作:雉白書屋
空想科学[SF]
短編
N2436IX
 都会は文字通り、ごみごみとしていた。  人、車。毎秒蠢く雑踏。歩けば落ちているゴミが足に当たり、鼻をひくつかせれば肛門を拭いたトイレットペーパーのような香りがした。  息苦しい……。そう感じた彼は立ち止まり、遠くを見つめる。尤も、伸ばした視線はすぐに目の前のビルに衝突し、ギラッと跳ね返る太陽光に目を背ける。  せめてこの精神だけでも逃がしたい、と彼はそのまま目を閉じ、思い馳せる。連なる木々。流れる小川。風に揺られ…… 「おい、おーい」 「あ、うん、なんだ?」
キーワード:
最終更新:2024-04-24 16:00:001844文字会話率:72% IN:0pt OUT:3pt 総合ポイント:0pt 評価ポイント:0pt

作:雉白書屋
空想科学[SF]
短編
N2434IX
 ある夜のこと。その青年は無意識に歩を速め、やがてそれは全力疾走へ移行した。息を荒げ向かう先、彼自身も信じがたい。まさか―― 「ゆ、UFO……?」  そうとしか言いようがないその飛翔体が人けのない林の中へ降りて行くところを青年は目にし、そして今、木の陰からその姿をまじまじと見つめるのだった。  ……しかし、どうしたのだろうか。UFOが突然、フッと姿を消したではないか。  いや、透明化。光学迷彩というやつだろうか。よくよく目を凝らせばそこにあることはわかる。そして、なにやら>>続きをよむ
キーワード:
最終更新:2024-04-24 11:00:002967文字会話率:76% IN:0pt OUT:5pt 総合ポイント:0pt 評価ポイント:0pt

作:羅心
ローファンタジー
連載
N8952IX
鬼ヶ島にて、犬、猿、雉の犠牲もありながら死闘の末に鬼退治を果たした桃太郎。 島中の鬼を全滅させて村に帰った桃太郎は、娘を授かり桃姫と名付けた。 桃姫10歳の誕生日、村で祭りが行われている夜、鬼の軍勢による襲撃が発生した。 首領の名は「温羅巌鬼(うらがんき)」、かつて鬼ヶ島の鬼達を率いた首領「温羅」の息子であった。 人に似た鬼「鬼人(きじん)」の暴虐に対して村は為す術なく、桃太郎も巌鬼との戦いにより、その命を落とした。 「俺と同じ地獄を見てこい」巌鬼にそう言われ、破壊された村に>>続きをよむ
キーワード:女主人公和風戦国伝奇残酷な描写あり
最終更新:2024-04-23 23:48:41111545文字会話率:49% IN:0pt OUT:4pt 総合ポイント:10pt 評価ポイント:10pt

作:雉白書屋
その他
短編
N1178IX
 夜。吹雪に閉ざされたとあるコテージ。そこで殺人事件が起きた。  現場に偶然居合わせた探偵が告げた「犯人はこの中にいる」友人同士の集まりだっただけに信じがたいという感情、恐れと疑念が全員の身体を覆った。  そして…… 「……ねえ、どうしたの? 一度、あの探偵さん抜きで集まろうだなんて」 「正直、勘弁してもらいたいね。あの探偵にしつこくアリバイを聞かれて今日はもう限界。さっさと自分の部屋で寝たいよ。あんなことがあったしな」 「な、なあ。彼は自分の妻を殺されたんだぞ……もう少>>続きをよむ
キーワード:
最終更新:2024-04-23 11:00:004218文字会話率:60% IN:0pt OUT:7pt 総合ポイント:0pt 評価ポイント:0pt

作:雉
ハイファンタジー
連載
N7510EG
 氷室雹が起こした“あの”危機より二年。ユーミリアスには麗らかな春の日差しが降り注いでいた。  ほんの少し成長した久たち五人は、セシリスに新たに建立されたギルド支部で、忙しくも楽しい毎日を送っていた。  そこに現れた、思いがけない客人と依頼。  久たちは「ありがとう」と言うために、その依頼を受けることにした。 ※今作は前作「クランクイン!」の続編となります。  よければぜひ前作からお読みになって下さい。→http://ncode.syosetu.com/n8187ed/
キーワード:オリジナル戦記冒険職業もの魔法タイムトラベルパラレルワールド
最終更新:2024-04-22 22:25:54160623文字会話率:32% IN:0pt OUT:72pt 総合ポイント:16pt 評価ポイント:12pt

作:雉白書屋
空想科学[SF]
短編
N9692IW
 朝。道を歩くその男は疲れていた。尤も、世の中の大半の会社員はそうである。朝起きて身支度を整え満員電車に揺られること一時間。ようやく会社に着き……と、身を委ねていればあっという間に歳月は流れるだろう。そして死ぬだろう。    ――嫌だ。    今日、彼はそう思った。そして気づいたら人の流れに逆らい、駅から遠ざかっていた。  心を病んでいるのかもしれない。彼は自分でもそう思うと同時に、今こうして駅に向かって歩いている人々こそが病んでいるのではとも考えた。  だが現実、このまま会>>続きをよむ
キーワード:
最終更新:2024-04-22 11:00:005085文字会話率:60% IN:0pt OUT:9pt 総合ポイント:0pt 評価ポイント:0pt

作:雉白書屋
宇宙[SF]
短編
N8366IW
 とある砂漠。新たに砂に埋もれていた遺跡を発見したと言えど、一年近くも経てばその熱も冷め、また元々大して世間の興味も引いておらず、深夜。調査を続けていたのはある年老いた考古学者のみであった。 「うーむ」と唸る博士。数週間前、遺跡の屋上のこの石板に触れたとき、確かに電流のようなものが走り、また文字が光って見えたのだが、やはりあれは気のせいか。徹夜続きだったものなぁ……。  と、博士が上体を大きく反らし、伸びをするとパキポキと子気味のいい音が鳴った。そして美しい星空をその瞳に映す>>続きをよむ
キーワード:
最終更新:2024-04-21 16:00:001449文字会話率:45% IN:0pt OUT:7pt 総合ポイント:0pt 評価ポイント:0pt

作:雉白書屋
ホラー
短編
N8359IW
 朝。囀る鳥の声と風に耳をくすぐられながら少年は自転車を漕ぐ。  イールストリート。出来てそう何年も経っていない、似たような住宅が立ち並ぶその通りは道路もまた綺麗に舗装されており、自転車のタイヤから伝わるその滑らかさに自然と鼻歌うたう。  今、ある家の庭に新聞を投げ込んだタイミングで、その家に住む夫婦の夫がドアを開け、新聞配達員の少年がリンリンと自転車のベルを鳴らす。  遠ざかっていくその背中を見つめ、軒下から出た夫は頭上から降り注ぐ陽射しに目を細めつつ、新聞を拾い上げ、そし>>続きをよむ
キーワード:
最終更新:2024-04-21 11:00:001309文字会話率:5% IN:0pt OUT:7pt 総合ポイント:0pt 評価ポイント:0pt

作:雉白書屋
その他
短編
N7389IW
 それはある日突然、人々の前に現れた。  否。『それ』などとは畏れ多い。そのお方は間違いなく神。白髪、白い服。一本の柱のような天から降り注ぐ神々しい光に包まれ、空から地上へと降りてきたのだ。  その場に居合わせた者たちは瞬時にそれが神だと悟った。  何かのトリック。人、もとい神を模した兵器。軍事作戦。はたまた宇宙人。こじつけがましくも可能性は他にも考えられたはずだが、それもまた神の力なのかもしれない。その威厳が彼らにそう悟らせたのだった。
キーワード:
最終更新:2024-04-20 16:00:00536文字会話率:10% IN:0pt OUT:7pt 総合ポイント:0pt 評価ポイント:0pt

作:雉白書屋
純文学
短編
N7388IW
 法事のあとの会食その席。身内だけの集まり。大部屋で畳に座椅子。その大きな窓の向こうにはまだ緑が広がっているが、秋の風とやや雲に覆われ弱気な日差しが、これより来る冬を想起させなくもない。そう高くはない和食処。早々に食事を終えた子供たちが集まり、遊んでいる。女たちは口に手を添え笑い、話に花を咲かせ、男たちもまた足を崩し、近況報告。  柳原家。長女、長男の二人姉弟。  長女は息子が二人。嫁ぎ先である旦那は今日は仕事で来ていない。二人の息子のうち一人は結婚し、女の子が一人。  長男>>続きをよむ
キーワード:
最終更新:2024-04-20 11:00:002163文字会話率:66% IN:0pt OUT:4pt 総合ポイント:0pt 評価ポイント:0pt

作:たかさん
ローファンタジー
連載
N4236IQ
鬼若を討ち取り、その時の活躍に応じそれぞれに恩賞が与えられた。さしたる恩賞もなく不興をかこっていた晴海の前に男が現れ、鬼若の変の話に花が咲いた。その中の言葉尻を捉えられ、晴海は芳川喜一郎を鬼と知りながら御所内に引き入れたとの疑いを掛けられる。 晴海は雉の手引きで教を逃れ、九州を目指す。それを境源三を頭とする御庭廻組二番隊が追う。 行く先九州には・・・
キーワード:残酷な描写あり伝奇ダーク男主人公女主人公和風中世群像劇
最終更新:2024-04-20 07:44:2818625文字会話率:39% IN:0pt OUT:17pt 総合ポイント:0pt 評価ポイント:0pt

作:雉白書屋
空想科学[SF]
短編
N6246IW
 彼はひとり、荒野を歩き続けていた。  灰色の雲がかかった紫の空。雷を鳴らし、生ぬるい風が吹いている。  終わり。全てが終わりだ。そうだ、終わったのだ!  彼は天に向かって、そう嘆いた。目を吊り上げ、裂けんばかりに口を開け、なぜだなぜと繰り返す。  笑い、笑った。気の触れたように笑った。そして泣いた。  やがて、また雨が降り出した。空は彼の心を映す鏡のようであった。
キーワード:ショートショート
最終更新:2024-04-19 17:00:00614文字会話率:0% IN:0pt OUT:7pt 総合ポイント:0pt 評価ポイント:0pt

作:雉白書屋
空想科学[SF]
短編
N6208IW
「怒られちゃったね……」 「うん……」 「追い出されちゃったね……」 「うん……」 「もう二度と顔を見せるなって……」 「うん……」 「認めて貰えなかったね。お父さんに。僕らのこと……」 「うん……」 「でも」 「うん」 「ふふっ、まだ何も言ってないよ」 「うふふっ、でもわかるの。あなたの言いたいこと」
キーワード:
最終更新:2024-04-19 11:00:00517文字会話率:89% IN:0pt OUT:7pt 総合ポイント:pt 評価ポイント:pt

作:雉白書屋
コメディー
短編
N5113IW
 夜。とある居酒屋にて、二人の男が話をしていた。 「でさー、この前の夜、道歩いてたらさぁ首までタトゥーしてた背の高い男に絡まれてさ、いやもう胸ぐら掴まれちゃってやべーっ! って周りの通行人とかもうそんな顔してて、でも俺は逆に冷静というかスイッチが入っちゃってさぁ、もうそいつの顎スパーン! と殴ってぇ、一発でぶっ倒しちゃったんだよねぇ。まあ、それはそれでほら、こっちが悪いみたいになっちゃうじゃん? だからもう慌てて走ってさぁ」 「すごいっすねー」 「おう……でぇ、そうそう>>続きをよむ
キーワード:ショートショート
最終更新:2024-04-18 16:20:003393文字会話率:95% IN:0pt OUT:7pt 総合ポイント:pt 評価ポイント:pt

作:雉白書屋
ヒューマンドラマ
短編
N5108IW
 秘境。というほどではないが、人里離れたとある山奥。その男はかなりの時間を費やし、崖の上までやって来た。  なにも自殺しようというわけではない。ただの趣味。湯を沸かし、コーヒーを淹れ、この景色を独り占めしたく……  ――えっ  と、彼は思った。一瞬、岩に見えたがそれは間違いなく人。人間が崖の先っぽに座っているのだ。  後ろ姿だが、恐らく男。そのボロボロの服の土汚れで周りと同化していた。  一体、あの男はここで何をしているのだろうか。それこそ自殺。で、あるならば人として見過>>続きをよむ
キーワード:ショートショート
最終更新:2024-04-18 11:10:002314文字会話率:60% IN:0pt OUT:6pt 総合ポイント:pt 評価ポイント:pt

作:雉白書屋
空想科学[SF]
短編
N3903IW
 ある日の午後。とある公園のベンチで二人のサラリーマンが缶コーヒーを手に持ち、話をしていた。 「ふぅー。ま、そういうわけだからあまり落ち込むな」 「……はい。すみません」 「だからもう謝んなって。先方も許してくれたしな」 「でも、この件は無関係なのに先輩にまで頭を下げさせてしまって……」 「ばっかやろう。お前は俺の後輩だぞ。無関係なんてあるかよ。いつでも頼れ。頭くらい何度だって下げてやるさ」 「先輩……ありがとうございます……」 「まあ、お前もいつか後輩ができたらわか>>続きをよむ
キーワード:ショートショート
最終更新:2024-04-17 15:00:001776文字会話率:96% IN:0pt OUT:7pt 総合ポイント:pt 評価ポイント:pt

作:雉白書屋
コメディー
短編
N3887IW
 昔々。話は人類の始まりまで遡る。  天地創造その後。偉大なる神によって創られし最初の人間。その男の名はアダム。そしてそのアダムの肋骨から作られた最初の女。その名はイヴ。  二人はやがて蛇にそそのかされ、禁断の果実を食し、楽園から追放されることになるが……。 「あ、あれよアダム! ほらほら!」 「ははは、そんなに腕を引っ張らないでくれよ、イヴ。それで、あれがかい?」 「うん。あのね、蛇さんがね、あそこにある果実を食べると良いことがあるって言ってたのよ」 「ふうん」 「へえ>>続きをよむ
キーワード:
最終更新:2024-04-17 11:00:001802文字会話率:95% IN:0pt OUT:8pt 総合ポイント:pt 評価ポイント:pt

作:雉白書屋
ヒューマンドラマ
短編
N2762IW
「うん、君のことは話を聞いて、大体わかりましたっと。えー、それで……お父さんはご存命?」 「それは……」  とある会社。就職面接にて、青年は口ごもった。必ず聞かれるとわかっていた。どう受け答えするか予習さえしていた。なのに言葉が出てこない。 「……はい」 「うん? それで、今何をされているのかな?」 「父は……今、無職です」
キーワード:
最終更新:2024-04-16 11:00:003666文字会話率:60% IN:0pt OUT:7pt 総合ポイント:pt 評価ポイント:pt

作:雉白書屋
その他
短編
N1419IW
 聖書によると神は全能であるらしい。ならば未来を、自分がとった行動その結果も知れたはずだ。  知恵の実を作り、それを蛇に唆されたイヴとアダムが食すのも知っており、そして二人を追放することもわかっていた。もっと強く警告かつ、直前で阻止してくれればよかったものを、わかった上でアダムとイヴが困惑する様子を眺め、楽しんでいたのだ。  ……いや、そう楽しんでもいなかったのかもしれない。楽園を追放され途方に暮れることも知っていたはずだ。  ……いや、自身が未来を知ろうとしなければ、知るこ>>続きをよむ
キーワード:
最終更新:2024-04-15 16:10:00731文字会話率:0% IN:0pt OUT:6pt 総合ポイント:pt 評価ポイント:pt

作:雉白書屋
ヒューマンドラマ
短編
N1412IW
 昔。とある古びた宿屋。夜、そこへ泊りにきた二人の男は案内された部屋、畳に腰を下ろすと、ふぅーと満足そうな息を漏らす。  旅行を満喫。酒に料理を楽しんだあと温泉に入り浴衣を着て、すでに夢心地。赤ら顔でしばし談笑し、さてそろそろ寝るかとその前に一人が便所に行くと言い、廊下に出た。  そして十数分後。戻ってきたのだがどこか落ち着かない様子。目ざとく気づいたもう一人が訊ねる。 「おい、どうしたんだ?」 「え、いや、なに、なにが?」 「いや、やけに慌てているじゃないか」 「え、え>>続きをよむ
キーワード:
最終更新:2024-04-15 11:00:001553文字会話率:80% IN:0pt OUT:6pt 総合ポイント:pt 評価ポイント:pt

作:雉白書屋
ヒューマンドラマ
短編
N0054IW
『おい、おい……』 「う、ん……?」  とある夜。電気を消し、ベッドで今まさに眠ろうとした青年は突然聞こえた声に瞼を擦った。  今のは夢だろうか……いや、まだ眠る前だった気が……いや、多分中間だったのだろう……まあ、そういうこともあるか……。  と、彼が一人、納得しかけたその時であった。 『おい、え、おい。今聞こえたよな?』  聞き間違いじゃない。どこか戸惑いが混じるその声に彼はむくりと起き上がった。
キーワード:
最終更新:2024-04-14 16:10:001914文字会話率:79% IN:0pt OUT:6pt 総合ポイント:pt 評価ポイント:pt

作:雉白書屋
空想科学[SF]
短編
N0048IW
 ――おお、また流れ星だ……。  吹き抜けた風が背の高い雑草と彼を撫で、過ぎ去っていく。左右、雑草が生い茂る空き地。道路の真ん中で自転車にまたがる彼は夜空をただぼんやりと見上げる。流れ星を見つけても、もう何かを願いはしなかった。朝、起きたばかりのようにどこか夢心地、陶酔感が彼の脳を満たしていた。  ……だが、曇ったガラスを拭うように遠くに見えるその光が彼の意識を照らし、脳を覚醒させた。 「ミサ……イル……?」
キーワード:
最終更新:2024-04-14 11:00:002840文字会話率:31% IN:0pt OUT:7pt 総合ポイント:pt 評価ポイント:pt

作:雉白書屋
ヒューマンドラマ
短編
N8864IV
 昔の話。おれが田舎に引っ越したばかりの頃。  友達ができなかったらどうしようなんていう小学生のおれの不安は、どこにあってどこに消えたのかってくらいすぐに仲良しの友達ができた。  どこか近しいところがあったからかもしれない。他の子は田舎者丸出しって言い方は良くないかもしれないが、ガサツであり、一歩引いてしまうのだ。(いや、今考えても犬の糞を手づかみするのはやりすぎだ)  そいつはこっちの心に土足で踏み込むような真似はしない。ちゃんと距離が測れるやつだった。  転校して間もない>>続きをよむ
キーワード:
最終更新:2024-04-13 15:10:001972文字会話率:20% IN:0pt OUT:4pt 総合ポイント:pt 評価ポイント:pt

作:雉白書屋
その他
短編
N8856IV
 数十年振りに阪神タイガースが優勝、日本一を決めたこの夜。道頓堀周辺は異様な空気に包まれていた。 『立ち止まらないでくださーい。と、飛び込まないでくださーい』  警備及び交通整理に動員された警官隊、その手に持つスピーカーからの呼びかけは風と共に人々の肌を撫でる。道頓堀の両脇、柵の内側。そして上にかかる橋にはズラッと彼ら警官隊とマスコミ勢がカメラを構え並んでおり、さらにその三列目、四列目は野次馬たちがその瞬間を収めようとスマートフォンのカメラを向けている。 「あ、ちょっと>>続きをよむ
キーワード:
最終更新:2024-04-13 11:00:002898文字会話率:77% IN:0pt OUT:5pt 総合ポイント:pt 評価ポイント:pt

作:爆すゐ
その他
連載
N7898IW
ごく普通な高校生の田邑優希奈、雉尾莉子は放課後の美術室で人には言えない事をしており_________。
キーワード:シリアスダーク女主人公学園現代R15ガールズラブ
最終更新:2024-04-12 17:38:141082文字会話率:65% IN:0pt OUT:5pt 総合ポイント:pt 評価ポイント:pt

作:雉白書屋
コメディー
短編
N7642IV
「呼べよ……その男をここに呼べよ!」  夕方。とある家のリビング。夫がバン! とテーブルを叩くと、上に置いてあったマグカップとその中のスプーンが飛び跳ね、音を立てた。  妻の帰りを待つ間、ざわつく心を落ち着かせようと作ったココアには結局一度も口をつけなかった。ただただかき混ぜただけ。その最中、ふと彼が共感を抱いたのは自分の心の淀みと重ね合わせたからだろう。  認めたくはない。まさか、自分の妻が浮気をしているなんてことは。  しかし、帰ってきた妻に『この間、手を繋いで歩いてい>>続きをよむ
キーワード:
最終更新:2024-04-12 15:10:001630文字会話率:86% IN:0pt OUT:10pt 総合ポイント:pt 評価ポイント:pt

作:雉白書屋
コメディー
短編
N7635IV
 とある夜。あの街にて。巡回中である警官はふーっと、ため息をついた。  昨夜の騒ぎが嘘のようだ。まったく迷惑な。まあ、気持ちはわからなくもない。なにせ―― 「えっ」  と、彼は思わず声を漏らした。そして、柵の傍で水を滴らせている男に近づき、声をかける。 「あ、あのー」 「はい。こんばんは」 「あっ、こんばんは……あの、もしかしてなんですけど」 「はい?」 「今、上がってきませんでしたか? その、道頓堀から」
キーワード:
最終更新:2024-04-12 11:00:001166文字会話率:87% IN:0pt OUT:10pt 総合ポイント:pt 評価ポイント:pt

作:雉白書屋
その他
短編
N6151IV
「あっ」  と、おれは言った。  そして、確実に死ぬというのに、なんとシンプルなんだと思い、自嘲的な笑みを浮かべてみる。
キーワード:
最終更新:2024-04-11 12:00:001091文字会話率:3% IN:0pt OUT:6pt 総合ポイント:pt 評価ポイント:pt

作:雉白書屋
その他
短編
N6148IV
 休み明け、職場に着いたとある男。自分の席に座った瞬間、頭を押さえた。 「どうした?」 「いや、何も……」  隣の席の同僚に訊ねられ、彼は笑顔を作る。  目ざとい奴め。しかし、それも当然か。大事な仕事の最中だ。しかし、だからこそ    ――だ。  ああ、まただ。言えるはずもない。頭の中で声がしたなど……。
キーワード:
最終更新:2024-04-11 11:00:001337文字会話率:19% IN:0pt OUT:10pt 総合ポイント:pt 評価ポイント:pt

作:雉白書屋
その他
短編
N4850IV
 人里を離れた、山の中腹にある研究所。青年はそこに向かって顔を歪めながら坂を上っていた。  車も入れない山道だ。まったくどうしてこんなところに……とその理由は知っている。博士が偏屈で人嫌いなのだ。が、どういうわけかその博士に気に入られ、こうしてわざわざ向こうから電話が入ったのは地元の新聞記者、それも新人の身からしたら、ありがたいことであった。なので青年は不満を押し隠し、歩きながら笑顔の練習をしておいた。  ようやく到着。息を整えたあと、扉を開けて中に入る。研究所といっても小さ>>続きをよむ
キーワード:
最終更新:2024-04-10 16:10:001635文字会話率:75% IN:0pt OUT:8pt 総合ポイント:pt 評価ポイント:pt

作:雉白書屋
コメディー
短編
N4847IV
 夜、とあるバー。テーブル席にて、二人の男が話をしていた。 「いやー、にしても俺らもこんないいバーで飲むようになったんだなぁ……」 「ん、ああ……」 「中学生の頃は思いもしなかったよな。はははっ、この付き合いが長く続くともな」 「ああ……」 「まあ、お互い独身ってのもあるな。こうして気軽に会えるのもさ。しっかし結婚はまだ考えられないよなぁ」 「ああ……」 「なんて、『あの時はああ言ってたけど……』とかいうことになるかもな! ははは! しっかし、彼女くらいは欲しい>>続きをよむ
キーワード:
最終更新:2024-04-10 11:00:001885文字会話率:99% IN:0pt OUT:9pt 総合ポイント:pt 評価ポイント:pt

作:雉白書屋
その他
短編
N3400IV
 ある日突然、世界中の人間が俺になった。  俺とは俺だ。もはや名前なんて意味はない。なぜならみんな俺だからだ。名前とは区別するためのものだろう? みーんな俺だ。呼ぶにしても『おい、お前』や『ねえ、そこの君』だ。でもそう言っている奴も言われている奴も俺なのだ。  女も子供も老人も全員俺。髪、顔、体。外見が俺と同じになったのだ。  理由はわからない。宇宙人か神様の仕業か、はたまた入浴剤を風呂に入れるようにように別次元の俺という成分がこの世界に零れ落ち、俺色に染まったのか。テレビの>>続きをよむ
キーワード:
最終更新:2024-04-09 16:00:001514文字会話率:0% IN:0pt OUT:7pt 総合ポイント:pt 評価ポイント:pt

作:雉白書屋
ヒューマンドラマ
短編
N3397IV
「うわっ、またお気持ち表明だ」  とある定食屋。一組のカップル。その男のほうが自分のスマートフォンを見ながらそう言い、顔を顰めた。 「お気持ち表明?」と訊ねる彼女。 「ああ、知らない? 不祥事起こした芸能人とかがさぁ、その謝罪をするときに逆ギレというか、ほら、このアイドルなんか男とデートしているところを週刊誌に撮られたんだけど、そのあとのSNSに投稿した文章がさぁ。【ファンの皆様の誤解を招くような真似をしてしまっていたのなら、大変申し訳なく思います】とか【ただ、誤った情>>続きをよむ
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最終更新:2024-04-09 11:00:002144文字会話率:90% IN:0pt OUT:8pt 総合ポイント:pt 評価ポイント:pt

作:雉白書屋
その他
短編
N2148IV
 ←って、何年前のノリだしっ! 恥ずかしっ! ←って誰も思わないか!(笑) ←ここ過疎ってるし! ←てかっおれ以外に人、いないんじゃねっ(笑) ←てかっ、これ、いつまで続けんだしっ!(笑) ←これ以上続けても無意味だし ←そんなこと言うなしっ(笑) ←時々、ひとりで何してんだろうて思う ←だからそんなこと考えるなしっ
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最終更新:2024-04-08 15:10:00877文字会話率:0% IN:0pt OUT:7pt 総合ポイント:pt 評価ポイント:pt

作:雉白書屋
宇宙[SF]
短編
N2143IV
 ある夜、宇宙から何かが地球に落ちてきた。現場は町外れ。大きなクレーターができ、どこか未練がましく空に向かって煙が伸びている。  夜中ではあるが、はしゃぐにはむしろいい時間帯。現場に駆け付けた野次馬を始め、警察消防マスコミ、そして軍や科学者たちが口々に言う。 「干柿みたいな形だな。隕石じゃないか?」 「馬鹿。どう見ても自然物じゃないよ。ほらあの部分、人工的だろう」 「人工衛星だろう。熱で固まったんだ」 「宇宙ゴミじゃないか?」 「う、宇宙人の爆弾だ! 間違いない!」 「お>>続きをよむ
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最終更新:2024-04-08 11:10:002052文字会話率:45% IN:0pt OUT:11pt 総合ポイント:pt 評価ポイント:pt

作:雉白書屋
その他
短編
N0680IV
「ふぃぃ、おれがいらっしゃいましたよっと……う!?」  そう呟き、そのバーに入った瞬間、酔いが醒め、後悔が押し寄せてきた。  今夜はすでに酒が入っており、気が大きくなっていた。仕事は順調。数日前から二歳年上の会社の先輩と付き合い始め、十万円だが宝くじが当選。おれが、少なくとも今週はおれがこの世界の主人公だ、と調子に乗っていたのだ。  だから、おいおいおい良い感じのバーがあるなぁ、と普段なら躊躇するところをドアを開けて入ってしまったのだ。  しかし、そこは別空間。おれが、うっ>>続きをよむ
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最終更新:2024-04-07 11:00:003825文字会話率:35% IN:0pt OUT:6pt 総合ポイント:pt 評価ポイント:pt

作:雉白書屋
宇宙[SF]
短編
N9414IU
 ――着陸の準備を  船長のその言葉に、乗組員一同に緊張が走る。  宇宙空間。長い航行。安全の保証など一つもなかった、その恐怖と苦労も終わりを迎えようとしていた。   「着陸は問題なし。酸素も……よし、大丈夫そうです」 「……そうか。では総員、準備ができ次第、探索に向かうぞ」 「はい!」「はい!」「はい!」
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最終更新:2024-04-06 15:10:001016文字会話率:36% IN:0pt OUT:12pt 総合ポイント:pt 評価ポイント:pt

作:雉白書屋
ヒューマンドラマ
短編
N9413IU
「やあ、さっそくだけど、うん。単刀直入に言って、君、いじめられているよね?」  とある中学校。その一室。ソファーに座る少年は居心地の悪さからと見てわかるほどに縮こまっていた。  テーブルを隔てて、少年と向かい合う形で座るその男は膝の上で手を組み、少年の口から出る言葉を待つ。   「……はい?」 「いじめられてない?」 「いじめぇー……ですか?」 「うん」 「……あー、ははは。いや、あれは遊びの延長というか、その、あれです、いじり。実際、僕もやり返したりしてますしね」>>続きをよむ
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最終更新:2024-04-06 11:00:002753文字会話率:54% IN:0pt OUT:8pt 総合ポイント:pt 評価ポイント:pt

作:雉白書屋
コメディー
短編
N7958IU
 小学生のモロ太くんは怠けることが、だーいすき。マイペースだけど、劣等感を抱きやすく、嘲笑うような視線には人一倍敏感です。  最近、あるものが世の中で流行り、そのせいでクラスメイトと学力他もろもろの差がメキメキと出てきて焦るモロ太くん。  頑張りたくはない……楽したい……。ですが、このままじゃそうも言っていられません。なのでモロ太くんはパパに泣きつきました。 「パパ、パパ! パパやん! 後生やから最新のあの装置、買ってーやぁ」  モロ太くんがいう、最新のあの装置とは脳拡張>>続きをよむ
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最終更新:2024-04-05 16:10:003100文字会話率:80% IN:0pt OUT:11pt 総合ポイント:pt 評価ポイント:pt

作:雉白書屋
ヒューマンドラマ
短編
N7954IU
 ――カッチコッチカチコッチ  野田は壁に掛けてある振り子時計の音を妙に懐かしく思った。  夢の中にいたせいだろうか。何の夢かは覚えていないが、旅をしていたような気がする。ともすればこの安堵感もそのせいだろうか。  野田は何度か大きく瞬きをし、そしてまた目を細めた。  自宅の食卓。ぼやけた視界。その中、一部分だけ眩く感じるのは寝起きのせいか。  ……いいや、目の前の鮭の切り身。その潤沢な脂が部屋の照明によって輝いて見えるのだ。  それに気づくと野田の鼻の中、肉壁を押しのけ、>>続きをよむ
キーワード:ショートショート
最終更新:2024-04-05 10:50:002574文字会話率:40% IN:0pt OUT:9pt 総合ポイント:pt 評価ポイント:pt

作:雉白書屋
空想科学[SF]
短編
N6509IU
「……ええ……ああ……は、はい! お、おーい! みんな、ちょっと手を止めてくれるかー!」  そう言ったあと、咳をするほどの大声を出した上司を見て、これまで寝起きのような浮遊感、あるいはじゃれ合う動物の幼子を眺めているときのような幸福感、夢うつつであった彼は目を見開き、そして口を閉じていられなかった。  人間の、彼に備わっている危機察知能力が警報を鳴らした、というよりは、少し前からこのオフィスの出入り口で上司と何か話していた体格が良い黒いスーツの男たちの視線が彼の方を向いてい>>続きをよむ
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最終更新:2024-04-04 11:10:004377文字会話率:58% IN:0pt OUT:13pt 総合ポイント:pt 評価ポイント:pt

作:雉白書屋
ヒューマンドラマ
短編
N4701IU
 大学生、二度目の春だった。時折吹く、やや強い風は彼らの髪や服に動きを与え、照らす陽光はまるで舞台役者のように、笑う自分、喋る自分、髪を押さえる自分、と彼らの所作をこの世界に表す手伝いをしているようだった。 「おいっす、何見てんの?」 「ん、先輩。……普通に普通の人を見ていました」 「ふーん……あ、ふはは、残酷なことを言うのねーん、おにいさーん」 「なんですかそれ……。あと、冷たかったんですけど」 「アイス。やるよ」  そう言って先輩は背もたれを乗り越えて僕の隣に>>続きをよむ
キーワード:ショートショート
最終更新:2024-04-03 15:10:002314文字会話率:68% IN:0pt OUT:10pt 総合ポイント:pt 評価ポイント:pt

作:雉白書屋
コメディー
短編
N4685IU
 とある夜。男はそっとドアを開け、家の中を進む。彼が目指していたのは、この僅かに聞こえる音のもと。心臓はそれを阻害、張り裂けそうなほど激しく鼓動していたが、気づかれてはならない。不意打ちを狙っている。ある意味ではそうだ。彼は泥棒……違う。それはある意味、相手のほうだ。    ――ガチャ! 「え、あ、あなた、出張じゃ! あ、こ、これは違うの」 「お前ぇ……いや、お前らぁぁぁ……」  彼が今朝、妻に出張と偽り家を出た理由。前々から浮気を疑い、この夜。その現場を押さえよう考え>>続きをよむ
キーワード:ショートショート
最終更新:2024-04-03 11:10:001930文字会話率:91% IN:0pt OUT:16pt 総合ポイント:pt 評価ポイント:pt

作:雉白書屋
純文学
短編
N3294IU
 どうもどうも、えー、騙し騙されっていうのは世の常、人の常でありますが、おっとっと。専売特許とまでは申しませんがねぇ元祖、騙す動物と言えばそう、タヌキとキツネですねぇ。  この二匹、昔から競い合ってきたもんでね。そりゃもう人間なんて手首を捻るようなもんですよっとね、へっへっへ。  そう、昔々のこと。とある少年がおつかい帰りに山道を歩いていました。  片手にはお母さんにお土産に、と叔母に持たされた蜜柑を包んだ風呂敷。もう片方の手は道中で拾った長い木の棒。  おっと今、棒を捨てて>>続きをよむ
キーワード:ショートショート
最終更新:2024-04-02 11:10:006498文字会話率:30% IN:0pt OUT:12pt 総合ポイント:pt 評価ポイント:pt

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