古来より現世には陰陽のごとく隣り合うものが多かった。
男と女。
太陽と月。
昼と夜。
……そして光と影。
光が強まれば自然、影も濃くなる。
栄華を極めた人間たちは形なき者たちを恐れ、忌避し……ついには名を与えてしまった。
魑魅魍魎、妖、鬼と。
名は呪。
形を持った彼らは夜陰に乗じて人間たちを襲い始め、瞬く間に夜に対する恐怖心が広がっていった。
時は平安中期。
貴族たちが謳歌し、都人によって華やかな貴族文化が花開いた頃のこと。
平安京と謳われた都にもそれらは
存在していた。
だが、そればかりではなかった。
僧侶は言う。
魑魅魍魎や妖、鬼はそれ自体はさほど怖くはない。
それ以上に怖いのは人間だ。
人の心の中には鬼が棲んでいる。
ひとたびそれが表出すれば、人は簡単に罪を犯す。
忘れてはならない。
人もまた魑魅魍魎なのだと。
これは、複雑に絡み合った運命を持つ複数の人間が織りなす物語である。
※実在の人物が登場しておりますが、この作品はフィクションです。歴史上の事件などにはいっさい関係がありません。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2021-02-07 00:00:00
15027文字
会話率:34%
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時は平安。のちの大陰陽師、安倍晴明はいまだに若く、師匠である賀茂忠行のもとで陰陽道を学んでいた。彼は自らの運命も為すべき事も知らなかった。――ある日、ひとりで書庫の整理をしていた晴明は、突然、恐ろしい鬼魅に襲われる。■安倍晴明が主役ですが、兄弟子の賀茂保憲が一生懸命頑張っています。ちょっと某小説と設定が被ってしまいましたが、ハピエンを目指してゆっくりと進んでいきます。
最終更新:2011-06-03 01:49:39
157286文字
会話率:42%
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