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――良い魔法使いは、わたしのところには来てくれない。
ソフィは幼い頃に両親を事故で亡くし、父の生家である伯爵家に引き取られた。けれど間もなく祖父母が急死し、叔父が伯爵位を継ぐと、ソフィは伯爵夫人と従姉のベリンダにより、使用人以下の酷い扱いを受けるようになる。
16歳になったソフィは、顔に醜い火傷痕をかかえながら、伯爵家から自由になることだけを夢見て堪え忍んでいる。伯爵家の中で唯一人ソフィに親切な従兄のセオドアから、「僕が必ず助けてあげる」と言われるが、その淡い期待も打ち砕か
れてしまう。
厄介払いされるように王宮の下働きになったソフィ。伯爵家を出ることはできたが、あいかわらず自由はない。下働きの中で最も過酷な仕事をさせられ、顔の火傷痕のために同僚からも遠巻きにされていた。
そんな中、ソフィは王宮で「魔女」と呼ばれる女性と出会う。
「魔女」の助けを得ながら、ソフィは自身の火傷痕を癒やすための化粧品を作り始める。さらに火傷痕を隠すために必死に習得した化粧の技術が認められ、ソフィは平民の身分でありながら王妃の化粧係に抜擢される。
けれど、化粧でどれほど綺麗に火傷痕を隠しても、ソフィに醜い痕があることは王宮中に知られている。従姉であるベリンダが、ことあるごとに言いふらすからだ。
それゆえにソフィは、恋も結婚もすっかり諦めてしまっていた。
そんなある日、王妃の誕生日を祝う夜会に参加するため、隣国である魔法大国から、王弟ジークベルトが来訪する。
ジークベルトは高い身分と麗しい容姿から数々の浮き名を流しながらも、25歳まで独身を貫いている。
そんなジークベルトは、王妃と令嬢達が集う茶会で、「この国で運命の出会いがある」という先読みの魔法の結果を明らかにする。
令嬢や女官達が浮き足立つ中、自分には関係のないことだと、一人だけ冷めた気持ちでいるソフィ。
ところが、ジークベルトが「王妃殿下の化粧を担当したのはどなたですか?」と奇妙なことを言い出したことで、ソフィの運命は変わっていく。
顔に醜い火傷痕を抱えながら一人で懸命に生きてきた少女が、美しい魔法使いである隣国の王弟殿下に見出され、幸せへの第一歩を踏み出すシンデレラストーリー。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-05-14 17:27:48
66930文字
会話率:39%
IN:0pt OUT:87pt
総合ポイント:554pt 評価ポイント:162pt
この世界では、赤は魔女の象徴として忌み嫌われていた。
赤髪で生まれ、幽閉生活を送っていた子爵令嬢のエヴィ。しかし、彼女はその赤髪を恨んではいなかった。
「だって本当に前世が魔女だったんだからしょうがないじゃない」
彼女は五百年前の前世で、本当に魔女だった。とはいえ力があってもポンコツで、趣味はお菓子作りの、子供を庇って死んでしまうようなお人好し。
「もう魔力もないのにどうして赤髪なのかしら……嫌いでは、ないけれど」
今の彼女の夢は、いつか家から追い出されて前世
で住んでいた森に戻り、自由になること。
「ひとりぼっちには、慣れているけれど……やっぱり一人は寂しい、なんてね」
あわよくば好きなお菓子をいっぱい作って食べたり、好きな人や友達を作って幸せに暮らしたかった。
そして久々に部屋から出ることを許されたデビュタントの日。
エヴィは中庭で一人、月を見ながら涙を流し、お菓子を食べている男性を見てしまう。……冷淡公爵と有名なはずでは!?
「一年間、俺に全く好意を抱かなければ、離婚して自由にしてやる」
秘密を知ってしまったエヴィに公爵が持ちかけたのは……賭けとおかしな契約結婚。
「では、俺に菓子を作るというのも足そう」
うまいように流されて、エヴィは賭けに乗り、契約してしまう。
「赤髪でもいいんですか?」
「君は嫌いなのか?」
「いえ、好きですけど」
「俺もだ」
公爵様は少し変わり者なようで……?
「うまい」
「最低限度の生活基準くらい知ってくれ」
「怪我があってはいけない」
想定外に優しい公爵に、エヴィは絆されていく。
『魔女』
────公爵は、ずっと“彼女”との再会を夢見ていた。転生、という禁忌を犯すほどに。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-02-21 07:09:48
7197文字
会話率:47%
IN:0pt OUT:29pt
総合ポイント:1324pt 評価ポイント:1208pt
腰を痛めた祖父(公爵家の庭師)の手伝いをするために、公爵家へやってきたミリアム。
公爵令嬢アナスタシアと知り合うが初めてふたりきりになった時に突然、衝撃の告白をされる。
アナスタシアには前世の記憶があり、この世界はその時に読んだ小説『フラワーフェスティバル』の世界であること。そして、ミリアムが主人公=ヒロインで、本当は公爵令嬢の異母姉であると伝えられる。
ミリアムはアナスタシアの必死さにとりあえず話を信じることにする。
小説ではこの後ミリアムをいじめて殺そうとした悪
役令嬢アナスタシアは最後は断罪され国外追放になるという。
ミリアムには幸せなヒロインになって欲しい、けれど、私も幸せになりたいというアナスタシア。
アナスタシアがひとりで未来を変えるために努力し続けていたことを知ったミリアムはアナスタシアを守りたいと思い、ヒロインになんかならない!と未来を変える決心をする。
しかし、アナスタシアはミリアムをヒロインにしたい気持ちもあり、その思いにミリアムは振り回されたりもするが、ふたりで未来を変えることが楽しくなってくる。前世の記憶や小説の世界という呪縛からふたりは解き放たれる自由になることができるのか!?折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-02-12 17:24:06
38744文字
会話率:32%
IN:0pt OUT:36pt
総合ポイント:80pt 評価ポイント:56pt
歳を重ねる事の強さと弱さ 自分で選びとる意味
最終更新:2023-07-02 16:38:17
248文字
会話率:0%
IN:0pt OUT:34pt
総合ポイント:0pt 評価ポイント:0pt
作:Kounotri
コメディー
連載
N0379HZ
生まれた頃から離宮にいたアイシャ・ド・フィリアスト=ナイトボア。突然離宮から出されたと思ったら勉強勉強勉強……。でも、だらけるためならどんな努力も惜しまないよ! 勿論、もう一つの仕事もやりますから! でも皇女で神々の神徒な私がだらけるなんて夢のまた夢だし、自由になることもできない! でも、頑張るよ!
※自分の欲のためなら急に真面目になるご都合主義の主人公です。
あらすじと違うじゃん! 主人公ただ元気なだけじゃなくて過去最悪じゃん! というシーンがあります。
ただただ元気
でポジティブな主人公が頑張るお話を読みたいかたはバックをお願いします。
タイトルが変更される場合が何度かあると思います!
私至上、初めての長編です。連載が止まっても案が思い浮かばなくても書き続けます! 最後まで温かく、気長に付き合ってくださると嬉しいです。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-05-06 21:01:21
10150文字
会話率:46%
IN:0pt OUT:3pt
総合ポイント:0pt 評価ポイント:0pt
グリュウ國の森の中の湖で目覚めた記憶喪失のカツミ。
タカヅマの宮で目覚めた彼は、戦人として未蕾という獣と戦うために召喚された。
強要されることを訝しみ、自由になることを望むカツミの出会いと別れの冒険譚。
※アルファポリスにあげたもののリメイクになります。
最終更新:2023-04-13 00:00:00
60199文字
会話率:56%
IN:0pt OUT:79pt
総合ポイント:0pt 評価ポイント:0pt
人に買われたアンドロイドは自由がない。
人に雇われたアンドロイドも自由がない。
しかし、もし、自由になることができたのならばワタシは自由になることはできないだろう。
昔、独白のように呟いたご主人様のあの言葉をいつまでも繰り返し、思い出し、それを都合のいい時に持ち出すのだから。
今日もワタシは自由になれない。
それでも、ワタシはそれがいい。
最終更新:2023-01-07 20:36:01
1835文字
会話率:25%
IN:0pt OUT:52pt
総合ポイント:24pt 評価ポイント:24pt
作:凄いグレートソード
ハイファンタジー
連載
N5531HZ
戦闘奴隷として、コロッセオで活躍していた主人公“オムニス”は、自由を求めて今日もコロッセオで生きるか死ぬかの闘いを繰り広げる。だが、結局自由になることは無かった。そんな彼がひょんなことで悪魔と契約し、悪魔と共に自由に生き、生きる理由を探し出す。
そんなちょっと変わった英雄譚が、今開幕する。
最終更新:2022-12-24 00:48:49
6490文字
会話率:28%
IN:0pt OUT:59pt
総合ポイント:0pt 評価ポイント:0pt
【完結保証・全52話】突然王太子に婚約破棄されたエリス。
理由は、田舎出の地味職の娘は王妃にふさわしくないからだという。
けれどそれは、王太子が新しい相手を見つけた(浮気していた)ためのこじつけに過ぎなかった。
エリス自身を貶める婚約破棄の理由も妥当なものではなかったのである。
エリスは有力辺境伯家の娘で、錬金術師の職を授かっていたのだ。
王太子は、辺境伯のことも、錬金術師のことも、誤って侮って考えていただけだった。
一方エリスは、前世の記憶を取り戻し、前向きになって婚
約破棄を利用して自由になることを決意する。
そして彼女自身も、その知識チートと潜在能力のおかげで「錬金術姫」と呼ばれるほどの才能を発揮。
そんな彼女を、幼なじみの隣国の王太子も、家族も、精霊も、領民も溺愛するようになっていく。
ところが、そんな大活躍する彼女の噂を聞きつけた王家はエリスを取り戻そうと画策するけれど……?
そんなの、今更もう遅いです!折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2022-08-14 14:57:06
98780文字
会話率:40%
IN:0pt OUT:111pt
総合ポイント:48380pt 評価ポイント:29842pt
美しい異母妹を可愛がる家族から、一方的に差別されてきた主人公。名家の令嬢として生まれながら、跡取りからも外され寂しく暮らしていた。もちろん、縁談が持ち込まれることはない。
孤独な彼女は、ある日実業家風の麗しい異国の青年に出会う。珍しいお菓子をともに食べるうちに、少しずつ近づいていくふたり。地味な彼女も彼の前では幸せそうだ。
やがて少女は青年に求婚されるが、少女のことを疎ましく思っているはずの母親が、少女が自由になることを阻んできて……。
名前と力を奪われ不当に虐げられて
いたヒロインが、土地神であるヒーローの花嫁として溺愛されるようになるまでのお話。ハッピーエンドです。
この作品は、アルファポリス及びエブリスタにも投稿しております。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2022-06-11 20:02:38
8025文字
会話率:47%
IN:0pt OUT:84pt
総合ポイント:6854pt 評価ポイント:6020pt
作:七月 夏喜
ローファンタジー
完結済
N4266HH
男子から美しい女子に変身した「鈴美麗 紀乃《スズビレイ キノ》」は、幼なじみの女子「花宗院 真琴《カシュウイン マコト》」との愛情と過去の束縛から自由になることで無事男子に戻った。そして二人はついに結婚し、一緒に住むことになる。しかし苦難の出来事がキノを再び女子に変身させ、マコとともに試練へと導く。大人への階段を上りながら、本当の二人の愛は何処へ行くのか。そして「おんなキノ」とは一体何なのか。キノマコ三部作完結編。
最終更新:2022-02-22 23:00:00
144467文字
会話率:55%
IN:0pt OUT:59pt
総合ポイント:20pt 評価ポイント:14pt
走ることは自由になること。
最終更新:2021-04-22 20:35:03
2896文字
会話率:52%
IN:0pt OUT:74pt
総合ポイント:4pt 評価ポイント:4pt
ある国の元信徒の話
これは遠い遠〜い星の話。
ある国には2つの教会がありました。その教会同士は仲が良かった(?)
しかしある日一つの教会の信徒が抜け出してしまう!?
これはその抜け出した青年の冒険ファンタジー!
そして果たして元信徒(教祖の右腕)が抜けてしまった教団は成り立つのか?
本編へどうぞ
最終更新:2021-02-01 18:00:00
6495文字
会話率:84%
IN:0pt OUT:98pt
総合ポイント:0pt 評価ポイント:0pt
私の国は男性の人口が少なく、女性は男性の言いなり。
私は勝手に男性の婚約者にされ、一生男性の道具にされてしまうかも。
それでも私は自由を諦めたくない。
最終更新:2020-10-13 06:39:30
3822文字
会話率:36%
IN:0pt OUT:78pt
総合ポイント:78pt 評価ポイント:74pt
ここではないどこか。
ある国で能天気に王子をやっている自称繊細な青年クルトは、お互いに天敵同士である幼馴染のイオリ・モノル侯爵令嬢と強制的に婚約させられてしまった。
このままいけば結婚させられてしまう……!
それだけは勘弁してくれと思った二人は、協力して婚約破棄を試みる。
結婚までの期間はあと一年。
果たして、無事二人は婚約を破棄して自由になることはできるのだろうか。
最終更新:2020-08-24 22:23:18
24300文字
会話率:42%
IN:0pt OUT:8pt
総合ポイント:18pt 評価ポイント:2pt
三年前、俺たちは学校ごと異世界に転移した。
状況を飲み込むことも出来ぬままの俺達に、現地の王は三つの選択肢を与えた。
一つ目、国の英雄として戦うこと。
二つ目、国のために働くこと。
三つ目、国のために生きることを拒否するなら、一月分の金を得て自由になること。
一つ目を選んだものは悲惨だった。半分が死んで、もう半分は重症で、前線に立つものは残りわずか。
二つ目を選んだ奴等で一番まともだった。今でも国ためにと称して、上役の指示を受けて必死で働いているだろう。
三つ目を選んだ奴
等だが、俺を含めてそういいもんのではなかった。
それぞれが適当な職を見つけるなかで、俺は傭兵団へ入団していた。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2019-05-03 09:31:37
20089文字
会話率:41%
IN:0pt OUT:62pt
総合ポイント:18pt 評価ポイント:16pt
この次元とは別の異世界にて、人とは異なる魔族と呼ばれる者たちは現世侵略の為、人と悪魔を掛け合わせた存在、魔女と呼ばれる人型の兵器を造り出した。
しかし自我を持った魔女たちは、自由になることを望み現世へと魔族の手から逃れていった。こうして人間社会へとまぎれた魔女たちを回収、駒とすべく、魔族は人間に擬態、憑依をし魔女狩りを行っていた。
今日またある場所で魔女狩りが行われていたのだが・・・
最終更新:2018-04-12 23:01:07
13869文字
会話率:49%
IN:0pt OUT:81pt
総合ポイント:8pt 評価ポイント:6pt
私はかつて大きな罪を犯した。人の一生を終わらせる大罪。殺人。それほどの罪を犯していながら、私は牢からの脱獄を試み、日々壁に瓦礫を打ち付けていた。
そんな折、私の牢の向かいに一人の女が収容される。怪しい雰囲気と、正気の宿らない瞳。
地獄のような日々の中で私と彼女は毎日言葉を交わし、やがて私は本当の意味での脱獄を知る。
牢から抜け出すこと。捕縛から解き放たれること。自由になること。罪から逃れること。脱獄とは果たして────。
最終更新:2017-09-20 18:07:15
3821文字
会話率:35%
IN:0pt OUT:42pt
総合ポイント:2pt 評価ポイント:2pt
作:日凪セツナ
ハイファンタジー
完結済
N3372DT
小国の姫リーリエは、戦で存亡の危機に瀕した国を救うため、伝承のカイブツに助けを求める。神々によって岩山にある牢に閉じ込められていたカイブツは、人と交わすことで契約を結ぶ指輪を持っていた。契約を結ぶと、カイブツは契約者の三つの願いを叶える代わりに、一定期間牢から自由になることができる。リーリエは国を救うという願いを叶える為にカイブツと契約を交わし、カイブツは数百年振りにその牢から出ることになった。
最終更新:2017-02-21 21:37:40
17123文字
会話率:61%
IN:0pt OUT:77pt
総合ポイント:365pt 評価ポイント:237pt
日々歴史の象徴として崇められている名画たち。
中にはあまりの貴重さから厳重に保管され、誰もがその存在を否定すること自体おかしいと思われている時代だ。
しかし本当に彼らの名画達自身はそれを誇りに思ってるのだろうか?
日々まるで監禁のように縛り付けられ長年に渡って、人間に自分の身をさらけ出され続けている毎日。
自由になりたい。彼らにとってそれはただ見せられただ崇められるだけの物としての扱いではないはずだ。
たとえ絵であってもそこには心がある。画家がその絵に対して吹き込んだ心がある
。
その心を大切なものだからといって踏みにじんではならないと思う。
早くこの縛られ続けている日々から開放され誰からも見られることの無い自由な存在になりたい。
人間は早くして亡くなる。しかし名画たちは自分の役目から開放され自由になることは半永久的に無い。
そうゆうの人間の移り変わりを名画たちは日々憎むように見ているのだろうか折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2016-10-07 23:29:13
405文字
会話率:0%
IN:0pt OUT:4pt
総合ポイント:0pt 評価ポイント:0pt
羽雪(ユーシュエ)という名の少女の願いは自由になること、しかし現実がその願いを裏切た。
ある夜、クラスメイトの男子が羽雪に告白してきたが、恋愛に全く興味ない羽雪はその話を断った。
この夜はまさに悲劇の始まりであった事を彼女はその時点で気づかるはずもなかった。
注意!
この作品は中国語のネット小説《入魔之鸟》(http://huayu.baidu.com/book/570236.html)を日本語に翻訳した産物です。
原作者の私と訳者の私は同一人物なので問題ありません。
日本
語についてはまだまだ勉強中ですが、自分の頭の中の物語を日本語で書けることはとても嬉しいことです!どうぞよろしくお願いします!折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2016-10-07 02:48:59
760文字
会話率:0%
IN:0pt OUT:16pt
総合ポイント:0pt 評価ポイント:0pt
誰から見ても完璧な優等生、本田壮人。そんな彼の悩みは、自分の存在価値が分からないこと。
閉塞感を抱えながら過ごしていた壮人は、高校入学をきっかけに自分を解放しようとする。
今までの人生で一度も逆らったことのなかった父の反対を押し切って、学区外の高校へ進学を決めた理由は父の檻から出て自由になること、それと、家族を再生すること。
そんな壮人を支えるのは人生を通して唯一の理解者である双子の妹、有里。言いたいことははっきり言う気の強い彼女と学校生活をともに過ごし始めた壮人。高
校生活の中で幼馴染みの親友を持つ変わり者の同級生、継亮や日陰を歩きながらも人生を楽しみ、心から幸せそうに微笑む先輩、睛摩に出会う。有里に似た継亮の気の強さや自由さ、自分の弱さを認めて前に進む睛摩の生き方に憧れながらも、変われない自分をもどかしく思う毎日。
自分には手に入らないものばかりをもつ周囲の人たちの中で、壮人は少しずつ変わり始めた。人に心を開くことで自分を解放し、存在価値を見つけようとする。
その一方、プライドが高く、家事も仕事もそつなくこなす、誰から見ても完璧主義者、壮人の父・本田有司。彼の悩みは自分の人生の目標が見つからないこと。
悩みを相談できる唯一の相手は時折夢枕に立つ亡き兄。悩ませるのは今でも愛しているのにうまくいかない元妻、人より大人びて自分から離れていこうとする息子、気が強く天真爛漫で掴みきれない娘。歩む方角さえ見失った人生の中でひとつの事件が彼の周囲を変え始める。
自分より元嫁を可愛がる両親、しっかり者の息子と娘、自分を目標だといってくれる若者。たくさんの人に支えられながら、有司は少しずつ迷路のような人生の道を進み始めた。現実を受け止めることで前に進み、忘れていた夢を思い出し、人生の目標を定めようとする。
家族を再生したい。家族みんなで楽しく夕食を囲む家族になりたい。
目標は同じなのに、互いにそれを知らず、すれ違い続けるふたり。
崩壊した家族の中で、人一倍家族に憧れながら過ごすふたりが家族を再生しようと奮闘するひと夏。
“家族みんなで楽しく夕食を囲む”
ただそれだけのことに何よりも憧れ、それを大切で、幸せなことだと思っているふたりの夢を叶えるための半年の過ごし方。
家族の運命は、如何に?
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2016-04-12 00:00:00
72967文字
会話率:64%
IN:0pt OUT:48pt
総合ポイント:16pt 評価ポイント:12pt
検索結果:22 件
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