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検索結果:57 件
鏡花一代の名作と讃えられる本作。
中世、近世の文学に深く根を下ろし、極度に切り詰められた文体で語られる能楽の芸道もの……といえば敷居が高いのですが、物語そのものは、数奇な運命で結ばれた若い男女の恋愛に、芸道の師弟の情愛がからむ、きわめてシンプルな感動作です。
現代語訳となると、鏡花一流の華麗な修辞は犠牲にならざるをえませんが、ストーリーの面白さとみごとな構成美の概容は感じてもらえるのではないでしょうか。
原文は一から二十三の数字の章立てからなっていますが、全体は世阿弥
以降の古典芸能の序(じょ)・破(は)・急(きゅう)五段の形式に、整然と整えられています。それをふまえて、各章を、序、破の序、破の破、破の急、急の五部にまとめることにしました。
難しい作品なので、掲載はゆっくりになると思います。各部ごとに(あとがき)と題して参考知識などをまとめていますが、読み飛ばしても、後からまとめて読んでくださってもかまいません。
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最終更新:2024-05-15 02:08:30
5875文字
会話率:35%
IN:0pt OUT:7pt
総合ポイント:0pt 評価ポイント:0pt
『きぬぎぬ川』は、明治三十五年(1902年)五月発表。同年一月に発表された『女仙前記(じょせんぜんき)』の続編にして完結編です。独立した短編ですが、先に『女仙前記』(前回UP済み)を読んでいないと事情がわからない部分もあります。
まずは全十五節のうち、行方不明になった令室の捜索が再開される第四節まで。
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最終更新:2024-04-07 13:23:55
35080文字
会話率:43%
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総合ポイント:0pt 評価ポイント:0pt
『女仙前記(にょせんぜんき)』は、明治三十五年(1902年)一月発表。同年五月に発表された『きぬぎぬ川(別題:女仙後記)』のプロローグにあたる短編です。
ストーリーはほとんど動かないのに、緻密に組み立てられた世界観を予感させる、なんともミステリアスなムードに全編が覆(おお)われて、独立した短編としても秀逸です。精密な描写が命というべき作品なので、細部を読み逃さないことをお勧めします。
最終更新:2024-03-28 18:46:35
13978文字
会話率:51%
IN:0pt OUT:13pt
総合ポイント:4pt 評価ポイント:0pt
前回アップした「泉鏡花『陽炎座』 現代語訳」の私的解釈です。
最終更新:2024-03-01 00:06:34
18864文字
会話率:6%
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総合ポイント:10pt 評価ポイント:10pt
ぼんやりとした記憶と、難解だったという印象しかなかった本作。再読して、こんなにもおもしろい作品だったのかと……。鏡花小説の前衛性に驚かされ、超絶技巧の冴えを堪能できる、もしかしたらSF小説の先駆けなのかもしれない、なんてことまで思えてしまう怪作です。
最終更新:2024-02-28 19:17:18
41191文字
会話率:36%
IN:0pt OUT:19pt
総合ポイント:22pt 評価ポイント:20pt
名作『眉かくしの霊』を、読者に謎を投げかけた謎物語(リドルストーリー)として読んでみると……。
最終更新:2024-02-15 16:56:05
4308文字
会話率:0%
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総合ポイント:10pt 評価ポイント:10pt
鏡花小説の原作として観た、映画『白鷺』(1941)のことを少し。
最終更新:2024-02-11 02:21:49
3543文字
会話率:0%
IN:0pt OUT:18pt
総合ポイント:22pt 評価ポイント:20pt
これまでアップしてきた、現代のエンタメに比肩する面白さを持ちあわせた鏡花小説にくらべると、本作はかなり名作の風貌。しかし、鏡花らしさは濃厚で、錦絵の美女たちや蜘蛛男、デロレン坊主など、妖しい追憶に彩られた、切れ味鋭い短編です。
最終更新:2024-02-05 17:44:32
21642文字
会話率:29%
IN:0pt OUT:18pt
総合ポイント:10pt 評価ポイント:10pt
かつて才媛と呼ばれた女(品子)は結婚後零落してしまい、夫と幼い子どもの三人で極貧の生活を送っている。そこへ女学校の後輩であった須賀子が訪れ、その窮状を目の当たりにし、品子の子どもを欲しいと申し出る。――明治29年12月~「江湖文学」に発表された作品。
最終更新:2024-01-27 14:22:01
11925文字
会話率:50%
IN:0pt OUT:14pt
総合ポイント:10pt 評価ポイント:10pt
『神鑿(しんさく)』は明治四十二年(1909年)九月に発表された中編。数ある鏡花作品のなかでも、とりわけファンタジー色の濃い傑作です。
古城の濠(ほり)で燃えるからくり船、謎を秘めた妖(あや)しい美女の人形、沼に映しだされる折檻(せっかん)の場、深夜に行進する案山子(かかし)の群、美女と怪僧の双六(すごろく)対決……。盛りだくさんの怪奇な趣向に加えて、現代のエンタメ小説にも通じる斬新な仕掛けがほどこされた物語は、最後のページをめくるまで気が抜けない。
短めの長編ともいえる
ほどの長さですが、読了後の充実感は『高野聖』を越えるかも。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-01-24 19:08:15
87714文字
会話率:33%
IN:0pt OUT:21pt
総合ポイント:28pt 評価ポイント:20pt
これは、鏡花流、ラノベチックな日常ラブコメ? 百合妄想?……なんて思っていると、10章あたりから異変のきざしが……。
短くて読みやすく、驚かされる短編です。
最終更新:2023-12-18 20:15:27
23310文字
会話率:55%
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総合ポイント:22pt 評価ポイント:20pt
鏡花作品にメルヘンな夢を追い求める読者に、カウンターパンチを食らわせる、死の祝祭劇。
怪談よりも恐ろしい描写もあるので、気分が悪くなる人がいるかもしれません。
最終更新:2023-12-13 01:31:45
57177文字
会話率:43%
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総合ポイント:12pt 評価ポイント:10pt
泉鏡花の血まみれアドゥレセンス黙示録。
1章から30章はあらすじ、31章から37章は現代語リライトです。
最終更新:2023-11-23 09:36:00
20591文字
会話率:19%
IN:0pt OUT:38pt
総合ポイント:12pt 評価ポイント:10pt
医学生の橘は悪友の法学生に遊郭へ連れられるが、その時出会った遊女に慄然(ぞっ)とするほど驚く。それはその遊女に、二年前駕籠に乗った重い肺結核を患った美しい女の面影を認めたからであった。病美人に心惹かれた橘は、医学生でありながら、彼女を助けようとして、迷信のような手段を講じる。そしてまた一方、病美人の面影を追い求めて、何度も遊郭に通うのだが、さて、その結末は。
最終更新:2023-11-18 08:54:55
16854文字
会話率:10%
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総合ポイント:32pt 評価ポイント:30pt
泉鏡花の『草迷宮』と、何かについての覚え書きです。
最終更新:2023-11-13 10:19:42
3190文字
会話率:0%
IN:0pt OUT:60pt
総合ポイント:10pt 評価ポイント:10pt
鏡花の遺作『縷紅新草』について、また著作全般についての覚え書きです。
最終更新:2023-11-11 09:43:36
14027文字
会話率:1%
IN:0pt OUT:41pt
総合ポイント:0pt 評価ポイント:0pt
泉鏡花『紫障子』についての覚え書きです。
最終更新:2023-11-04 02:54:50
2279文字
会話率:0%
IN:0pt OUT:20pt
総合ポイント:8pt 評価ポイント:8pt
泉鏡花『ピストルの使い方』の感想文です。
最終更新:2023-10-31 20:33:07
3044文字
会話率:0%
IN:0pt OUT:25pt
総合ポイント:24pt 評価ポイント:24pt
またまた。べつの角度からの「なぞとき」です。
最終更新:2023-10-14 14:05:18
4633文字
会話率:12%
IN:0pt OUT:64pt
総合ポイント:10pt 評価ポイント:10pt
またべつの角度からの「なぞとき」です。
最終更新:2023-10-14 14:02:36
3969文字
会話率:0%
IN:0pt OUT:67pt
総合ポイント:10pt 評価ポイント:10pt
泉鏡花『幻の絵馬』 現代語訳、解釈篇
最終更新:2023-09-29 10:25:08
11816文字
会話率:4%
IN:0pt OUT:42pt
総合ポイント:30pt 評価ポイント:28pt
鏡花の暗黒グラン・ギニョール、『幻の絵馬』全十八章の現代語訳です。大正六年一月発表。
最終更新:2023-09-27 11:09:34
79825文字
会話率:45%
IN:0pt OUT:2pt
総合ポイント:14pt 評価ポイント:10pt
お試し登録。読書感想文です。
最終更新:2023-09-06 17:09:40
2530文字
会話率:0%
IN:0pt OUT:32pt
総合ポイント:10pt 評価ポイント:10pt
お試し登録。読書感想文です。
最終更新:2023-09-05 02:03:39
5525文字
会話率:5%
IN:0pt OUT:33pt
総合ポイント:10pt 評価ポイント:10pt
海の公女/乙姫(泉鏡花『海神別荘』)×八百屋のお七(井原西鶴『好色五人女』)を目指したもの。
火あぶりに処されたのち、乙姫に気に入られ海の国に迎え入れられた死後のお七。そこで思わぬ人物と再会を果たすが……。
最終更新:2022-09-28 15:17:28
2392文字
会話率:40%
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総合ポイント:26pt 評価ポイント:22pt
「春昼」の続編。(章立ても「春昼」から引き続いている)
寺の住職から、寺の客人であった男が、人妻である「玉脇みを」という女性に思い焦がれた後、海で溺死したという話を聞いた散策子は、その日、実際「玉脇みを」に出会う。その美しさにドギマギしながら、彼女の話を聞くのだが、そこで見せられた手帳には、○□△だけがぎっしり描かれてあった。
それは、まさしく、亡くなった客人がもう一人の自分を見たと言う舞台の中で、「みを」の薄色の寝衣(ねまき)に描いたそのものであった。
驚く散策子。
そん
なところへ角兵衛獅子の子どもが二人現れる。「みを」がその一人に『ことづけ』の和歌を手渡すなど、新たな展開を見せつつ、物語は春の海を背景に収束へと向かっていく。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2021-12-16 08:50:26
22754文字
会話率:39%
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総合ポイント:4pt 評価ポイント:2pt
春の麗らかな日、伊豆の町をふらりと散策をしていた男(散策子)は、久能谷(くのや)の観音堂へ詣っている時、寺の住職に声を掛けられ、不思議な話を聞かされる。
すなわち、去年の夏、住職が住居として仮庵室を提供していた、散策子によく似た客人が、“玉脇みを”という財産家の夫人に想いを寄せた挙げ句、海で溺れ死んだという話である。
「春昼」はその続編である「春昼後刻」と合わせて一つの作品となるが、この「春昼」では、客人の死までの経緯(いきさつ)を語る住職に、散策子が耳を傾けるという内容とな
っている。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2021-11-24 08:38:01
37773文字
会話率:35%
IN:0pt OUT:20pt
総合ポイント:4pt 評価ポイント:2pt
加賀、片山津温泉に若い一人の画家が泊まった。
真夜中、トイレに立った画家は洗面所で、髪を整える艶な女と出会う。
そこの温泉旅館の女中、お澄である。
画家はその出会いを口実に、自分の部屋で酌をしてもらうが、お澄は今から旅館にやって来る客の接待をしなければならないと言う。
その客は夜明け前に、鷭(ばん)を撃つために来るのである。
画家は鷭を描いた作品を上野の美術展覧会に出品したこともあって、鷭を大切に思っていることから、お澄にできるだけ鷭を撃たせないようにして欲しいと懇願する。
お澄はその画家の言うことを信じて、鷭を守ろうとするのだが……。
――男の嘘と女の誠がもたらす結末は?
※ 鷭……ツル目クイナ科に分類される鳥。体長は35 cmほどで、ハトくらいの大きさ。翼開長は52 cmほど。成鳥のからだは黒い羽毛におおわれるが、背中の羽毛はいくらか緑色をおびる。(ウィキペディアから)折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2021-07-04 16:06:49
11679文字
会話率:41%
IN:0pt OUT:47pt
総合ポイント:10pt 評価ポイント:10pt
加賀・山代の温泉旅館「近江屋」にやって来た京都の仏語の教授、榊三吉は、フトしたことから、芸妓(げいしゃ)の小春と出会う。小春は自分を身請けして女房にしたいが、それができない「紙屋の治兵衛」という嫉妬深い男に心中話を持ちかけられ、悩んでいた。
榊はそれを助けようとするのである。
それを快く思わない治兵衛は、嫉妬のあまり、榊をつけ狙うのであるが……。
温泉地でのこの愛憎話は、近江屋の女中お光と榊との軽妙なやり取りを伏線に、意外な結末を迎える。
最終更新:2021-06-19 07:59:02
25498文字
会話率:46%
IN:0pt OUT:78pt
総合ポイント:12pt 評価ポイント:10pt
身体の大きさを自由に変えることはもちろん、空も飛べる河童の三郎、ある時、東京から遊びに来ていた芸人たち一行の、若い娘の尻を触ってやろうとするが、居合わせた男にステッキで突かれて、左手を折られてしまった。その仕返しをしたいと、明神の姫神に願う。
果たして、三郎の願いは聞き届けられるのだろうか。
人間←→河童←→神という構図で描かれた、民俗学的な世界も垣間見える、鏡花の一風変わった作品。
最終更新:2021-05-18 21:14:21
18443文字
会話率:43%
IN:0pt OUT:10pt
総合ポイント:4pt 評価ポイント:0pt
廓(くるわ)の刃物研ぎを生業(なりわい)にしている五助の店では、毎月十九日、いつも剃刀が一挺(いっちょう)なくなるという。そして、なくなった剃刀はどこかの楼で見つかる。店前で若い者とそんな話をしていると、通りかかった五助の古くからの友人である鏡研ぎ職人の作平が聞きつけ、実は……と、同じ十九日に関して、自分が研いた鏡の話をし出す。
曰く、昔、吉原の遊女が自分を捨てようとした男を殺そうと剃刀で刺そうとするが、男が手にしていた鏡に遮られ、思いを果たせず、そのため女は自ら自害したとい
う。月は違うが、その日が同じ十九日で、そんな因縁のある剃刀と鏡である。
時を経ても、吉原においては自害した遊女の怨念は消滅しておらず、それが、十九日、再び事件を誘発することとなる。
剃刀研ぎの五助と、鏡研ぎの作平が遭遇する遊里における怪談話。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2021-04-26 08:01:27
39893文字
会話率:30%
IN:0pt OUT:43pt
総合ポイント:10pt 評価ポイント:10pt
洋画家の島津に人知れず片思いし、恋煩いの末、名ばかりの貧乏華族、小糸川子爵夫人となった縫子。しかし、嫁ぎ先はただ縫子の財産だけが目当てだった。その様々な仕打ちに堪えきれず、縫子は家を捨て、温泉地に来たが、その途中、偶然にも島津と出会う。
一方、そこで縫子が出会ったもう一人の人物、人形使いの老人、辺(へ)栗(ぐり)藤次(とうじ)は、若い頃女を殺(あや)め、その呵責から折檻されることを望む人物であった。
縫子と人形使い、両者の抱える苦悩はいかにして乗り越えられるのか。
そして、そ
れを島津はどう見るのか。
ザッヘル・マゾッホの「毛皮を着たビーナス」の一場面を彷彿とさせる、マゾヒズムも一つの主題とした、鏡花独特の戯曲。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2021-02-19 10:13:42
17881文字
会話率:0%
IN:0pt OUT:35pt
総合ポイント:2pt 評価ポイント:0pt
「旅籠(はたご)はの、大昔から、蔵屋と鍵屋の二軒だけでござっての」
「どちらに泊まればいいのかな」
澤がこう尋ねると、
「やぁ……」と、皺々(しわしわ)の手を膝で組んで、俯向(うつむ)いて口をむぐむぐさせ、
「鍵屋へは一人も泊まる者がござらっしゃらぬ。何や知らんが、怪しいことがある言うての」
門下生となるべく、師と仰ぐ人の居る東京へ向かう澤は、途中、栃木(とちのき)峠(とうげ)で一泊する。茶店の爺の話に出た「怪しいこと」とは何なのか。
思いもよらない女性との出会いに、澤は
……。
慎ましやかではあるが、官能的な作品に仕上がっていて、私の好きな小説の一つである。
全五章。一挙掲載。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2021-01-29 21:02:40
9211文字
会話率:31%
IN:0pt OUT:9pt
総合ポイント:0pt 評価ポイント:0pt
「私」が毎晩のように聞く真夜中の女の笑い声、その正体は何なのか。
また、大火事や台風などの災害時に、出没する幽霊のような黒髪の大女は、「私」だけに見える幻なのだろうか。
一見、鏡花のエッセイのような書きぶりで始まるこの作品、途中から奇譚めいて、実際どこまでが現実で、どこからが物語になるのか、よく分からなくなる話でもある。
取り立てて有名な作品ではないが、(原文の)暴風雨(あらし)の描写などは流石(さすが)で、鏡花の表現力にあらためて魅了される。
最終更新:2021-01-19 08:20:33
14954文字
会話率:24%
IN:0pt OUT:13pt
総合ポイント:12pt 評価ポイント:10pt
占いを得意とする学生、九曜軒一彩こと萩原要介、同郷の知人の招きに応じて、桜木村へ遊ぶが、ちょうど秋祭りの時節。遊び心で、鎮守の後ろの畦道に占いの店を出す。
そこに占って欲しいと現れる若い女。占えば、最悪の卦。
その女をきっかけとして、ある観世物小屋の人形を覗くことになるのだが、人形を指し示しながら、「外面如菩薩内心如夜叉」と繰り返す、興行主の異様な尼を見る。
そして、要介はこの観世物小屋や尼と因縁のある、先ほど占った女の女主人と巡り会うことにより、話は不思議な、思いもかけない
方へ展開していく。
ある境界を越えた時、あたかも現実と非現実が綯い交ぜになったかのような物語の進展は、いかにも鏡花らしい。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2020-12-10 08:36:22
43454文字
会話率:32%
IN:0pt OUT:7pt
総合ポイント:18pt 評価ポイント:12pt
泉鏡花の猫に関するエッセイ。
最終更新:2020-10-29 11:21:54
9991文字
会話率:30%
IN:0pt OUT:58pt
総合ポイント:0pt 評価ポイント:0pt
東京の歌舞伎の女形、清之助は、知人の招待を受け、京都にやって来る。今夜にも東京へ帰らなければならないという日、祇園の子持ち芸妓であるお桐にあちこち案内してもらった後、最後に黄昏時の清水寺を訪れる。
お桐には同じ芸妓の姉がいたが、ついこの間自死した。それが自分のせいであるとの思いから、自らも死ぬ覚悟でいる。
その気持ちを知った清之助は、何とか思いとどまらせようとするのだが……。
最終更新:2020-10-19 07:14:32
53891文字
会話率:44%
IN:0pt OUT:31pt
総合ポイント:16pt 評価ポイント:14pt
今さらになって『あなたの本棚のあいうえお』をやってみました(それぞれの本の感想つき)保険でR15その他何個かタグつけましたが、そういった表現が出るにしても大方ソフトだと思われます。
最終更新:2020-10-01 20:39:03
28470文字
会話率:27%
IN:0pt OUT:97pt
総合ポイント:4pt 評価ポイント:2pt
心を通わせている昔なじみの男と女。
女は花街(かがい)に身を置いているようであるが、大病をして、親許に身を寄せている。大分快方に向かってはいるものの、仕事に出る迄には至っていない。
そこに昔なじみの男が逢いに来る。
鏡花が男女のしみじみとした感情の襞(ひだ)を描けばこうなる、といった掌編。
内容は違うが、どこか雰囲気が「女客(おんなきゃく)」を思い出させる。
最終更新:2020-07-21 09:54:12
3593文字
会話率:47%
IN:0pt OUT:13pt
総合ポイント:8pt 評価ポイント:6pt
置屋の主人(あるじ)である小銀(こぎん)は、肺病で入院している友人を見舞いに行った帰り、電車の中で、気持ちの悪い女が口の中で酸漿(ほおずき)を鳴らしているのを見る。
それに気分が悪くなり、途中下車して、蕎麦屋で天ぷら蕎麦を口にするのだが、その時、酸漿を呑み込んだと思い込む。
澁澤龍彦が三島由紀夫との対談で、「気持ちの悪い話」だと語り、三島もそれを聞いて、「ああ恐い(笑)」と返している、奇妙な短編小説。
最終更新:2020-07-16 10:17:41
5996文字
会話率:42%
IN:0pt OUT:97pt
総合ポイント:0pt 評価ポイント:0pt
薬草取 あらすじ
医学生の高坂は、医者から見放された大事な人を助けるために、医王山に薬草を取りに行く。その途中、思いがけず一人の花売(はなうり)の娘と出会った。
娘との話の中で、彼が幼い頃、母の病気を治したい一心で、そこに薬草を取りに行ったことがあると打ち明ける。それは彼にとって一生忘れられない思い出であった。
花売の娘に昔を物語りながら、求めている薬草のある、四季の花が同時に咲くという「美女ヶ原」まで行くのだが、その結末は、そして花売の正体は……。
艶(あで)やかで儚(は
かな)く、繊細な心情を鏡花が独特の筆致で描く。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2020-07-11 13:15:00
20468文字
会話率:28%
IN:0pt OUT:85pt
総合ポイント:12pt 評価ポイント:10pt
「今日(きょう)はこの家(や)に居(お)り侍(はべ)り、御方(おんかた)様(さま)たち、おなぐさみ」
裏木戸に掛けられた、この謎めいた言葉の意味とは?
少年が経験する、榲桲(まるめろ)のめくるめく香りと少女への憧憬。
醜と聖、美と悪が綯(な)い交ぜになった世界、現(うつつ)と幻(まぼろし)の間(あわい)に少年は何を見たのか。
鏡花独特の感性が研ぎ澄まされた小品。
最終更新:2020-06-23 08:11:07
20127文字
会話率:25%
IN:0pt OUT:5pt
総合ポイント:10pt 評価ポイント:10pt
夏の暑い日盛り、一人の少年が氷を売りにやってくる。そこへ身分の高そうな女(貴女)とその侍女が現れる。貴女は少年に氷を求めるが、少年の削り落とした氷は、真っ黒である。貴女は少年に綺麗な氷をと催促するが、削る氷はどうしても黒くなってしまう。貴女はそんな少年を責める。と、少年は何事かを決意したように貴女の手を引いて走り出した。紫陽花が川沿いに咲く場所へ。
泉鏡花が愛した紫陽花をモチーフにした色鮮やかで清冽な小品。
最終更新:2020-06-02 09:11:13
3201文字
会話率:11%
IN:0pt OUT:93pt
総合ポイント:0pt 評価ポイント:0pt
「螢、下さいな。螢下さいな」
私はその姫なる神に言った。
螢は姫君の脇を潜(くぐ)って、今、袖裏から這い出しながら、ゆっくりとその前(まえ)襟(えり)を這う時、蒼い光をひたひたと放ち、濡れまとった衣(きぬ)を通して、真白い乳房(ちぶさ)を透かして見せた。……
一匹の螢を追いかけ、思わず迷い込んだ蓑(みの)谷(だに)の深い森。
そこで出合ったのは、母が話していたあの不思議な姫君に違いなかった。
この「蓑谷」は「龍潭譚」に先駆けて書かれた泉鏡花の幻想的な小品である。
最終更新:2020-05-24 20:23:08
2991文字
会話率:15%
IN:0pt OUT:52pt
総合ポイント:0pt 評価ポイント:0pt
文部省の展覧会で落選した画家の妄想か、現実か、観念か、あるいはそれらの境界でのことなのか、物語は劇中のいくつかの場面で繰り広げられる。
貴婦人は嵌めていた紅玉(ルビー)の指環を烏(からす)に奪われるが、偶然その指環を手にした若い紳士と不倫の関係に陥る。
それに気づいた夫は、旅行に出掛けると見せかけて、不倫の手引きをしていた侍女を捉え、脅し、妻の不倫の確証を得る。
こうしたストーリーがまず、中心の流れとしてある中、その傍で、成り行きを見守る三羽の烏が居る。この烏の実体は画家の
観念なのか、そうではないのか、最後まで不明であるが、この道ならぬ恋の美しさを賛美しつつ、その果てに死ぬ(殺される)二人の肉こそ、最高の珍味だと考え、その最期を待っている。
現実、妄想、観念が入り乱れた非常にシュールな作品で、解釈も難しいが、どの部分に興味の焦点を当てるかで、読む方(観る方)の感じ方も変わるのではないか。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2019-06-01 21:08:57
12776文字
会話率:0%
IN:0pt OUT:16pt
総合ポイント:14pt 評価ポイント:10pt
貧しい漁民の父親が、海の恵みを手に入れるため、一人娘を海に沈める。海の世継ぎである若殿――「公子(こうし)」はその娘を迎え入れるのだが……。ハッピーエンドとなるのか、それとも。
最終更新:2018-07-31 08:10:47
25279文字
会話率:1%
IN:0pt OUT:44pt
総合ポイント:40pt 評価ポイント:20pt
電車でふと見かけたコケティッシュな女。
まったく見知らぬ女であったが、どちらともなく誘い誘われ……、そして駆け引き。
男と女の一つの小さな物語。
最終更新:2018-07-16 08:37:38
12895文字
会話率:28%
IN:0pt OUT:0pt
総合ポイント:2pt 評価ポイント:0pt
男は従妹が事故の前に眺めた風景を見たいと思った。
それは一枚だけ散らない、桜の花びらだという。
■泉鏡花先生の『木精(三尺角拾遺)』をモチーフにしています。
最終更新:2018-07-06 06:10:25
4575文字
会話率:27%
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総合ポイント:30pt 評価ポイント:28pt
大学病院の医師、泰宗吉(はたそうきち)は雨の日、電車の待合室で、昔の知り合いによく似た女が座っていることに気づく。宗吉は順風満帆で医者になった訳ではない。暗い過去があるのだが、今、目の前に座っている女が、まさにその昔世話になった女と似ているのだ。その女を見て、宗吉の記憶は遠い過去に遡る……。
全十回。
最終更新:2018-07-01 09:23:55
14722文字
会話率:34%
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総合ポイント:4pt 評価ポイント:0pt
泉鏡花作「龍潭譚」現代語勝手訳
最終更新:2018-04-29 21:02:52
20460文字
会話率:12%
IN:0pt OUT:70pt
総合ポイント:38pt 評価ポイント:20pt
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