地方の食品メーカーに務めるくたびれたサラリーマン亮一は、ある日スマホの機種変更で、データ移行中に高校生の頃ハマっていたオンラインスマホゲームアプリ『竜騎士と天空都市』を発掘する。
懐かしさに思わずネット検索をしてみれば、ゲームは来月末にサービス終了と予告されていた。
サ終とあっては名残惜しくなり、彼はゲームにログインしてみる事にしたのである。
カムバックボーナスの一つに『ティアドロップ』なる課金者限定強化アイテムがあった。該当アイテムをタップして『使う』を選択。
次の瞬間──
「は?」
亮一はなんと、自宅アパートの畳の部屋ではなく、草原に立っていた。
振り返るとそこには放置され続けて機嫌を損ねた相棒のワイバーン。
残っていたはずの5百人ほどのアクティブユーザーの姿もなく、何故かただ一人、『竜騎士と天空都市』の世界に放り込まれた亮一。
彼はログイン時の願望を思い出す。
「最後にもう一度、相棒と飛ぼう。始まりの土地から、最終章まで」
どこまでも続く青空と、緑に覆われた隆盛の跡。
ポスト・アポカリプス、心地よい破滅の世界を、亮一はのんびりと旅する。
ツンデレな相棒と共に。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2022-10-31 00:00:00
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