-吸い込み- 小説家になろう 更新情報検索 - 新着順 -
『小説家になろう』サイトの更新情報を検索します
検索結果:21 件
1
その男は暗く黒くどこまでも深く染め上げられた外套に身体をすっぽり隠していた。
頭巾から見え隠れする双眸の瞳もやはり黒曜石のように黒く、左腕の鱗籠手は黒鋼で背中の両手剣の刀身、柄、全てが黒鋼だ。
幾重もの剣戟のなか白刃を受け流し叩き返してきた籠手。その傷跡は死合う相手に幾度も死を呼び込んだことを伺わせた。槍襖を食い破るよりも多く首を跳ねたであろう黒鋼の大剣は切先から柄まで鋭く、黒光の珠が滑り落ちた。
世界はあまりにも曖昧で境界線が朧げとなった。
リードランを放浪するアッシュ・
グラントは空を眺めそんなことを考えた。
今日この日を迎えるまでの出来事がそう思わせたのだ。それは昨日のことでもあったし、気が遠くなるほど昔の話でもあった。アッシュ・グラントの名を含む英雄譚は幾つかあったが、その始まりは百年以上も前になる。だから決定的にコレがといえる譚はなかった。いやどちらかと云えば、それを考えることが面倒だったのかもしれない。ただ漠然と曖昧さと朧げさを頭の片隅に置いておければ良かった。
今は行方をくらました友を探しダフロイトへ到着をしたばかりだ。
そちらに力を注ぐべきなのだ。
だから息を大きく吸い込み、アッシュ・グラントはダフロイトの南大門を静かにくぐった。
※本編は文字数が多いので本当にお時間あるときに是非。
※本作は、残酷描写|暴力描写|性描写 がございます。
これらが苦手な方はお気をつけください。
※本作は「カクヨム」「Nola」へも同様のものを投稿しております折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-04-27 02:01:24
820904文字
会話率:31%
IN:0pt OUT:84pt
総合ポイント:56pt 評価ポイント:40pt
作:whitemoon
ローファンタジー
短編
N8528IX
罪玉
突如、世界の中心の上空に現れた巨大な漆黒の物体。
更に、各大陸、各地域に小規模の同じような物体が出現した。
そしてその漆黒の物体は次々と人類を吸い込みその過程で吸い込まれた者の肉体は醜く崩れ去り、肉体が徐々に崩れ去り骨と化していく者は須らく阿鼻叫喚の苦しみを味わっていた。
最終更新:2024-04-21 16:26:07
4484文字
会話率:46%
IN:0pt OUT:6pt
総合ポイント:0pt 評価ポイント:0pt
食事中、世界が口内に吸い込まれる。
何もかもが渦になって入り込む、というよりも多彩な色のあるこの世界が白色に塗り替えられていく。世界の表面の色をそぎ落としていくかのように白が露わになっていった、元ある色が白色だったかのように。
椅子に座っていた筈だったが、背もたれを吸い込んだ私はその背を支える物までが消え、次に座面も吸い込み、消えた。背の支えを失い後ろにつんのめり、そうして座面まで失った体は後ろに倒れ、頭を強く打った。
次に目を覚ましたときには白い世界が広がっていた。
辺りを見渡し確認すればテーブルに椅子、何かを測定するかのような数字のあるデジタル式の時計のような物のある一室に居た。どうやら頭を強く打った事により記憶が曖昧になっているようで、少しずつ思い出しながらもひとつずつこの状況を整理していく。
私は誰でここは何処なのか、記憶を辿るもそれすらも怪しい。
私すらも怪しく、その世界も怪しい、おかしい。
そうしてその白い世界で一人の女性と出会った。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-11-28 13:18:22
8954文字
会話率:32%
IN:0pt OUT:36pt
総合ポイント:0pt 評価ポイント:0pt
マルダリアン王国では遙か昔より、荒ぶる竜王が天変地異を起こすと伝えられ、国の崩壊を恐れた国王たちは毎年一人の乙女を竜王へと捧げてきた。
男爵令嬢ライザ・ファルマーは、今年の生け贄として選ばれてしまい、竜王へ差し出されることに。
しかし洞窟内で有毒なガスを吸い込み、意識を失ったライザを助けたのは艶やかな黒髪、ガーネットのような瞳、長い睫毛、二本の雄々しい角を生やした竜王だった。
「貴方様はもしかして……」
「いかにも俺はお前たち人間が竜王と呼ぶ者である。名はアンディオスだ
」
異類婚姻譚&歳の差&ファンタジック。
安心のハピエン異世界恋愛ストーリーです。
*ざまぁ展開があります。
*他のサイトでも公開しています。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-05-23 11:02:22
12283文字
会話率:63%
IN:0pt OUT:72pt
総合ポイント:514pt 評価ポイント:472pt
ある月曜日。桃璃律火(とうり りつか)はビルとビルの狭間に奇妙な黒い穴を見つける。
不審に思い、路地裏の穴に近寄った律火。すると突然、穴が律火の体を吸い込み始める。
気が付くと律火はさっきの路地裏に倒れていた。
起き上がった律火はすぐに異常に気づく。
周りがやけに静かだ。
街の喧騒は嘘のように消え、世界に佇むのは律火ただひとり。周囲には誰一人として存在しない。
不安と恐怖と混乱の中、静寂に包まれた街を人を探してさまよう律火。
その最中、律火は見たこともない怪物と遭遇する。
襲
い来る怪物。しかし少女には戦う術などなかった。
なんの変哲もない月曜日。桃璃律火は命を落とした。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-02-22 11:00:00
134846文字
会話率:47%
IN:0pt OUT:29pt
総合ポイント:18pt 評価ポイント:10pt
絶望freaksのスピンオフ
人妻レイラ視点で書かれてます
カイリと別れ レズビアンと同棲し
鳥籠に飼われる事が趣味だったのに
それは間違いであったと気づくまで
傷だらけの硝子細工のように割れかけ
また 真綿のように悪夢を吸い込み
そして 鋼のように全てを遮り
様々な絶望感を味わいながら
消えて逝く悪夢が乗り移った天使みたいな
生き様を書きました
最終更新:2023-01-06 01:11:33
4309文字
会話率:0%
IN:0pt OUT:95pt
総合ポイント:0pt 評価ポイント:0pt
※書籍化準備中
※毎週水曜更新!
聖女を幾人も輩出した名門エルロン家の長女、リアナは父親が運営しているギルドに所属している。
彼女には生まれつき右手に悪魔の刻印が刻まれており、それが原因で聖女にはなれず冷遇され続けいた。
リアナの父のギルドはパワースポットと呼ばれており、何故か所属している魔法士の力が上がると有名で、多くの依頼を受けている。
「せっかくのパワースポットも穢れた血が邪魔をして評判を下げる」
リアナは妹のティナが聖女としてギルド入りをするのと同時に勘当され追放さ
れてしまう。
途方に暮れながら隣国まで仕事を探しに行った彼女。
そこで宮廷鑑定士だと名乗る青年エルヴィン出会い、右手の刻印が精霊たちの魔力を吸い込み周囲に分け与えているという事実が判明する。
「自然界の精霊たちから永続的に魔力を吸収出来るなんて、実質的に“魔力が無限”にあるってことだよ。とんでもない逸材だ。リアナなら最高の精霊魔術士になれる」
なんとパワースポットの正体はリアナだった。
新しい才能をスカウトする仕事をしているというエルヴィンはさっそく彼女を王立ギルドに紹介。
無限の魔力を他人に分け与えることが出来る彼女の存在は隣国で大きな注目を集めることになる。
一方、パワースポットではなくなった両親のギルドは次々と依頼を失敗して信用がガタ落ちになっていた。
※アルファポリス様でも掲載しております。
※日間総合ランキング3位(12/24の朝と昼)を獲得しました。ありがとうございます!折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2022-08-24 12:00:00
177092文字
会話率:44%
IN:0pt OUT:22pt
総合ポイント:57398pt 評価ポイント:33026pt
宇宙に興味を持つ、読書好きな6年生の菜穂と、4歳の颯太の兄弟は、ある日、昔使われていたロケットの発射台がよく見える公園に遊びにいった。すると、突然、黒く大きい何かが周りのものを吸い込みながら、近づいてきた。それは、ブラックホールだった。2人は、その中へ飲み込まれていった。中には、地球では、存在するはずがないと言われていた生物と、街があった。その世界は、太陽が燃え尽きることによって、滅びようとしていた。そんなの止めるしかない! 2人の冒険と挑戦が始まる!
最終更新:2022-04-13 19:26:58
18570文字
会話率:43%
IN:0pt OUT:9pt
総合ポイント:0pt 評価ポイント:0pt
深夜散歩中、興が乗っていたのか思いのほか遠くまで来た。
川と山の間にある大きな広場。
刈り揃えられた雑草が緑の絨毯のようで眼に優しい。
深く息を吸い込み肺を新鮮な空気で満たしていると
遠くで白いものが動いているのに気づいた。
最終更新:2022-01-07 11:00:00
1311文字
会話率:14%
IN:0pt OUT:5pt
総合ポイント:10pt 評価ポイント:10pt
セカイ系の小説です。
「天気の子」や「君の名は。」が好きな方は、とても楽しめると思います。
高校生の少女「ウミ」と少年「ユウ」の試練と恋愛の物語です。
※毎日、午前11時更新予定です。お昼ごはんでも食べながらお楽しみください。
※お気に入り(ブックマークに追加)にしていただくと、更新通知が飛びますので便利です。
----------あらすじ---------
ある夏の日、島の中心に存在する活火山「人形山」が、数百年ぶりに噴火した。その火山礫の中に、夜になると黄色く発光す
る石が複数確認された。この石は「燐光石」と呼ばれ、数百年前の噴火の時にも同様に地表に降ったのだという。言い伝えによると、燐光石の光には非常に強力な毒が含まれており、野放図にすると島全体が住めない土地になってしまう、という。島の住民の半数は、本土への移住を余儀なくされた。そこで、島の神社を勤める古杜家の伝統に従い、ウミが浄化の巫女として選ばれ、ユウは人形山に降り注いだ燐光石を収集してウミに届ける役割を担う事になった。ウミは、燐光石を唇に当て呼吸をすると、その光を吸い込み、無毒化する能力を有していた。
数百年前の噴火時、どのように浄化を行い、最終的に浄化の巫女はどうなったのか、という充分な資料がないまま、燐光石の毒素が人体にどのような影響があるか解らない中、燐光石の浄化作業は続けられた。
ウミの体調は、最初こそ問題がなかったが、毒素の影響か、夜になると体が発光するようになり、やがて咳や嘔吐を伴うようになった。そして…。
伝統と国家機密のはざまで、ウミとユウは、無事に燐光石の浄化を完了することができるのか…。
-------------------------
ちなみに…物語を最後まで読んだあとに、2つの付記を読むと、物語に対する見方がいっきに変わると思いますよ…。
また、小説内には一切解説をしていないですが、登場人物のすべての名前には意味があります。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2022-01-06 22:00:00
156594文字
会話率:48%
IN:0pt OUT:33pt
総合ポイント:16pt 評価ポイント:10pt
「─ 醜い嫉妬を丸出しにするなっ!」
学園のカフェテリアに響いた怒声に、高みの見物を決め込んでいた私は、続く波乱の予感に、見物を取りやめて足を突っ込むことを決心する。
そして息を吸い込み、渦中の集団へと声をかける。
「ご機嫌麗しゅうございます、皆様!」
最終更新:2020-12-08 14:00:00
17978文字
会話率:43%
IN:0pt OUT:47pt
総合ポイント:76578pt 評価ポイント:62310pt
人口が減少の一途を辿り、取り残された廃墟が目立つ日本の昨今。そんな人々の想いだけを残した瓦礫の中で、故人の思念を吸い込み奇怪な力を得た妖者が生まれた。植物に似たそれらは、やがて怪華(かいげ)と呼ばれ、他の生物に様々な影響を及ぼした。
一方で、その妖者に人生を狂わされた青年がいた。彼の幼き頃の記憶は、恐らく怪華によりくり抜かれていた。名前も分からない。そんな彼を救い、トキワという名を与えたのが怪華を専門とする研究家、天草多々良(あまくさたたら)だった。
10年の時が経ち、トキワ
は自ら怪華に関する事件の現場に赴く“先生”となり、天草の娘、咲(さき)と共に、怪華に、そして人々の想いに深く関わっていく。自らの幼少期の記憶を取り戻す為にも。
トキワたちの、神妙不可思議な旅が始まった。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2020-05-06 20:20:36
73230文字
会話率:66%
IN:0pt OUT:9pt
総合ポイント:12pt 評価ポイント:10pt
後悔とは泡のように浮かんで、消える。
不思議な空間にいた、猫のようなそいつ。一面に広がる水面らしきものから、生まれる泡。
そいつが泡をパイプで吸い込み、また吐きだす。
そいつは言った。
「消える前に覗いてみるかい?」
泡に映った、様々な人の後悔。次々と生まれ、弾けて消える。
そんな儚い泡を抱いて、人は進む。
後悔とは泡のように浮かんで、消えるのだ。
最終更新:2018-07-11 22:05:32
5327文字
会話率:18%
IN:0pt OUT:30pt
総合ポイント:206pt 評価ポイント:174pt
ある日、深淵(アビス)と呼ばれる空間の穴が世界中に開いた。
黒い黒い球体のそれは、世界に出現すると同時に周囲の特定の人間を吸い込み、さらにこの日から世界各地で魔法や超能力と呼ばれる力が発現する者が現れ始める。
吸い込まれた人間と力が発現した人間
この二種類の人間にはある共通点が存在した。
それはオタクであったという事。
そう、そのどちらもがオタクと呼ばれる者達だったのだ。
この事件への国々の対応は迅速だったと思われる、深淵や力が発現した者達を管理する為の施設を作り始め
たのだ。
これを一番早く達成した国は日本だった。
世界の中で一番多く深淵が開いた国、にもかかわらず、約一年でその施設を完成させたのだ。
この施設は世間ではオタ学と呼ばれ、そこに集められた異能者達はこう呼ばれた。
ーーーー想造者、と……折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2018-06-20 22:22:59
43911文字
会話率:44%
IN:0pt OUT:86pt
総合ポイント:49pt 評価ポイント:31pt
封印の破壊神が毒属性の神に遊ばれる……。そんなお話。
最終更新:2017-08-23 09:05:16
2406文字
会話率:11%
IN:0pt OUT:30pt
総合ポイント:0pt 評価ポイント:0pt
世界に穴が空いた。
穴は全てを吸い込み始めた。
魔石を持つ少年は、唯一人、世界の崩壊を防ぐ力がある。
少年は、悩む。
叫ぶ少女を背に、少年は空を走る。
最終更新:2017-04-15 02:52:31
1644文字
会話率:17%
IN:0pt OUT:43pt
総合ポイント:10pt 評価ポイント:8pt
幼い頃、よく白いたんぽぽの茎を手折り、頬を膨らませて胸いっぱいに春の空気を吸い込み、その息を吹きかけました。時期が早かったのか、全く親から離れない子どもの種たちもいました。今思うとかなり残酷なことをしていますが、あの頃はこうして遊んだりしました。
最終更新:2017-03-15 01:32:12
779文字
会話率:0%
IN:0pt OUT:17pt
総合ポイント:7pt 評価ポイント:7pt
作:さば・ノーブ
ローファンタジー
完結済
N6742DM
冴騎美琴は、義兄虎牙と恋人となれた。だが、その仲故に闇に狙われてしまう。
虎牙は四天王オーガに捕らえられ、下僕とされてしまう。虎牙を救出せんと獅道と美琴は、黒王の居城へ乗り込むが、そこに待っていたのは残酷な罠だった。黒王は、美琴の力を吸い込み復活してしまう。復活した北の黒王を打ち破れるのは、伝説の黄金騎士のみ。美琴の仲間達は虎牙を、そして美琴を救い出せるのか?伝説の騎士は現れるのか?
最終更新:2016-09-15 21:27:29
29055文字
会話率:27%
IN:0pt OUT:31pt
総合ポイント:14pt 評価ポイント:10pt
国で唯一の作家であるアルミスの子供、少年ロイは絶対に入るなと言われたアルミスの仕事部屋で淡い青色の光を放つ一冊の本を見つける。本を開くと、急に周りの物を吸い込みはじめ、ロイも巻き込まれてしまう。気が付くと、目の前には見たこともない景色が広がっていた。今までの出来事からすぐにロイは、自分が本の世界にいるのだと悟り、元の世界へと戻る方法を探しはじめる。
最終更新:2015-12-13 13:19:33
12160文字
会話率:44%
IN:0pt OUT:76pt
総合ポイント:19pt 評価ポイント:15pt
馬鹿だけれど、
高いところは怖かったので煙を吸い込みました。
最終更新:2015-07-16 00:13:28
2058文字
会話率:4%
IN:0pt OUT:46pt
総合ポイント:2pt 評価ポイント:2pt
江戸物人情物に初めて挑戦いたしました。よろしくご購読願いします。
「何すんだよ!」
そう叫ぶと同時に志乃の右手が新之助の頬を張った。
新之助は能面のように表情を消して、志乃の上に覆いかぶさってきた。再び新之助の頬が激しい音を立てて鳴った。何度も何度も乾いた音が響いた。衿からぐっと差し込まれた新之助の手に志乃の乳房が鷲掴みにされる。
「まったく娘みてぇな身体をしてやがる。親父は、この身体を抱けなかったことにまだ後悔してるんだぜ」
逃げようとしても上に乗られた新之助から
志乃の自由は奪われたままである。
裾を割られて新之助の腰が志乃の中へ落ちてきた。「やめな!」と強気に応戦していた志乃の声が「やめて……」と哀願するように変わった。
新之助が力を込めた。
志乃は息を強く吸い込み仰け反った。
抗うのに無我夢中で時間の経緯がわからなかった。ただ下腹に熱いものが注がれて、志乃の体を嵐が通り過ぎた。志乃の頭が混乱し、心を殺されて放り出された。
「赤ん坊から腰の曲がった年寄りまで、深川の女という女たちを全員取り込んじまうよ! 門仲に目障りで邪魔っけな小間物屋があるけど、潰しっちまうよっ!」
大広間に集めた八十名の男達を前に志乃が立ち上がった。茜屋の五つ紋をあしらった黒羽二重を着た志乃の勢いに、臙脂の鮮やかなお仕着せ半纏の男達が一斉に野太い気合の入った返事で座敷の空気を振るわせた。
--でも、覚えているだろ? あたしゃ容赦しないよ。約束だ。あんたのこの店を潰して見せるからね。悔しかったらかかっておいで。
茜屋は、浅草は花川戸にある呉服商である。志乃はそこのひとり娘である。
法師蝉が時雨れた夏の終わり、越後から出てきた仙吉が茜屋で奉公を始めたのは、志乃が十になった時だった。
そして二人の夢は茜屋を江戸一の大店へのしあげることと一緒だった。しかし、はからずも志乃の茜屋は総力を挙げて、仙吉の深川に出した小間物屋を潰しにかかった。
それは志乃の生きてきた証にほかならなかった。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2011-07-19 18:14:02
83102文字
会話率:36%
IN:0pt OUT:92pt
総合ポイント:44pt 評価ポイント:36pt
検索結果:21 件
1