金輪 錠(かねわ じょう)は、団塊の世代として警察一筋、
定年まで無事勤め上げ、今後の生き方について悩んでいた。
金輪は、これからどう生きるべきか、元警官の先輩達に電話をかけた。
だが、定年退職によって極度の緊張感から解放された警察官達は、
その多くが突然訪れた安堵感と、正義への使命感の喪失から、
生きがいや人生の進むべき方位を見失い、
定年退職後の平均余命が十年に満たない事を知った。
そのような先輩達もいる中、元地域課で働き、
現在では「喫茶パトライト」を営む、
茶所
守(ちゃどころ まもる)が健在であることを知り、その店を訪れた。
そこは定年退職した元警官達が集う場所でもあった。
元白バイ隊の隊長でいつもお眠の、綱木 源吉(つなぎ げんきち)、
元鑑識課の鑑識官で、土壌分析クラブで土壌成分情報の交換を楽しむ、
犬神 健太(いぬがみ けんた)、
元警備部外事課の警官で若い外人の妻を持つ、米良 言語(めら げんご)、
彼ら個性的な面々は、燃え尽きかけている元警官達ではあったが、
金輪が発した、
「このまま年金暮らしをして、ただ老いてボケるのを待つなんて」
との言葉に心打たれ、長年培った正義の心を見失わない意味と、
グローバル・ポジショニング・システムをかけて、
グレイ・ポリス・サービス(GPS)を立ち上げて防犯パトロールを開始した。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2017-01-14 11:42:36
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